Vision ProよりAI重視とのこと
アップル、SiriとAI改善のため「バグ取りの達人」のベテラン幹部を投入か
アップルがSiriと人工知能関連の製品を改善すべく、社内で人事異動を行うと米Bloombergが報じている。同社で37年ものキャリアを持つキム・ヴォラス氏が、機械学習および人工知能戦略担当上級副社長ジョン・ジャナンドレア氏のもとでAIチームに加わる予定だという。
ヴォラス氏は初代iPhoneのソフトウェア開発にも参加したことがあり、プロジェクトを綿密に管理し、ソフトウェアチームが納期を守るよう徹底することに定評がある。アップル社内では「バグ取りの達人」「強力な推進力」と評されているという。ここ数年はAR/VRチームでVision Proヘッドセットの開発に従事してきたが、AI部門への異動が決まったとのことだ。
このニュースは、Siriがスーパーボウルの勝者に関する回答精度が非常に低く、58回のうち20回、わずか34%しか正解できなかったことが話題になった直後に報じられたものだ。iOS 18.2.1とiOS 18.3ベータ版、macOS 14.7.2の全てが同じ間違った回答を出していた。
またApple Intelligenceはニュース記事の見出しを不正確に要約し、混乱を招くことが何度かあった。アップルも批判に対応し、iOS 18.3ベータ版ではニュース通知要約を一時的に停止させている。
アップルはApple IntelligenceにChatGPTを統合したが、Siri本体は依然として他社のチャットボットに大きな後れを取っている。iOS 18.4では画面認識機能や個人コンテキストの理解など新機能が追加され、iOS 19ではChatGPTやGoogle Geminiに匹敵する「より会話的なSiri」が実現する予定だと噂されている。
Bloombergによると、この人事異動はアップルがAIをVision Proよりも重視していることを示す兆候だという。ヴォラス氏はエンジニアリンググループの編成や、新しいプロセスで効果的なワークフローを再設計するコツを知っているとのことだ。
Apple Intelligenceが発表される以前、Siriは長年にわたり停滞しており、機能の低さや改善の遅さが社内でも「嘲笑」されていると言われていた。今回の報道では、ヴォラス氏が「アップルの製品開発文化をAIに持ち込む準備ができている」との証言を伝えているが、ようやく根本的にテコ入れされそうだ。