GoogleはXR事業では迷走ぎみ

Google、「HTC VIVE」開発チームの一部買収を発表。Android XRを加速するため

Image:Robert Way/Shutterstock.com

GoogleはXRデバイス向けのOS「Android XR」の開発を “加速” するため、「HTC VIVEエンジニアリングチームの一部を迎え入れる」契約を締結したと発表した。

2017年、Googleはハードウェアの自社開発を推進するため、HTCのスマートフォン事業の一部を約11億ドルで買収していた。これによりPixelスマートフォンを開発していた約2000人の従業員がGoogleに加わっていたが、同様の状況が繰り返されている。

Googleの公式発表によると、これら人員はVR分野での実績を持つ非常に優れた技術チームであるとのこと。ヘッドセットとメガネ型デバイスのエコシステム全体でAndroid XRの開発を加速するため、彼らと協力できることを楽しみにしているという。

かたやHTC側は、Googleが2億5000万ドルを支払うと明らかにしている。この取引は「慣習的な完了条件に従う」ものであり、2025年第1四半期に完了する予定とのこと。エンジニアの人材に加えて、Googleは「HTCのXR知的財産(IP)に対する非独占的ライセンス」を受領。さらに、HTCとGoogleは今後の協力の可能性を模索すると述べている。

HTCはGoogleにVive事業を売却するわけではなく、既存の製品ラインの開発を続けるという。昨年9月、同社は高品質VR体験ができるという「VIVE Focus Vision」を一般および企業向けにリリースしたばかりだ。

この契約により、HTCはXRエコシステムを軸とした継続的な開発戦略を強化し、プラットフォームに焦点を当てたより合理的な製品ポートフォリオ、より高い業務効率および財務上の柔軟性が実現できるという。

GoogleはAndroid XRにおいてOSに注力しているため、特にソフトウェア関連エンジニアを獲得するようだ。ハードウェアはサムスンやその他のOEMメーカーが提供することになる。

初のAndroid XR製品としては、サムスンが製造するXRヘッドセット「Project Moohan」が発表済みだ。同社は新製品発表イベント「Galaxy Unpacked」でもProject Moohanの実物を展示していた

表向きは好調に見えるAndroid XRだが、Googleは2023年にはARメガネ「Project Iris」を開発中止したと報じられ、Project Moohanについてもサムスンとの主導権争いが噂されたこともある。今度こそ方向性が定まったのか、社内政治の影響を受けないのか、興味深いところだ。

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