GoogleグラスやDaydream Viewに続きR.I.P

Googleが「ARグラス」開発中止の報道。今後はソフトウェアに注力へ

Image:Google

2022年、GoogleはARヘッドセット「Project Iris」を開発中だと報じられていたことがある。このIrisの開発が中止されたと、米Business Insiderが独占情報として伝えている。

今回の報道によると、Googleは今年初めにIrisをキャンセルした後、現在は独自のスマートグラスを開発していないという。約2年半前にThe Vergeが報じていた際、Irisは2024年に発売予定だとされていた。

Googleは2020年、スマートグラスのスタートアップNorthを買収している。Business Insiderによれば、Irisの初期バージョンはNorth初のデバイス「Focals」に酷似していたという。実際、2022年の開発者向けイベントGoogle I/Oでは、自動翻訳を字幕表示するスマートグラスのプロトタイプが紹介されていた。

そこから一転してIrisが開発中止に追い込まれた理由は、主に2つ。ひとつは、ここ数か月にわたってレイオフや会社の再編成が相次いだこと。もう1つはAR/VRを指揮していたクレイ・ベイパー氏が退社したことだ。ベイパー氏は、VRヘッドセット「Daydream View」(販売終了)を担当したこともあった。

それに加えて、Googleの首脳陣はIrisの開発中に戦略を変更し続けたため、チームは絶えず方向転換を強いられ、多くのスタッフを苛立たせたという。どうやら、様々な悪条件が重なったようだ。

ただし、GoogleはまだAR技術の研究開発は続けているという。独自のARハードウェアを作る代わりに「ARのためのAndroid」に集中することにしたようだ。Androidのモバイル機器でそうしたように、「ヘッドセットを製造する他のメーカーにライセンス供与することを目指す、AR用ソフトウェアプラットフォームの作成に注力している」とのことだ。

実際、サムスンとGoogle、それにクアルコムは今年2月、新型Android XRデバイスを共同開発すると発表していた。これは今年のGoogle I/Oでも言及されており、2023年後半に詳細を発表するとも予告済みである。

Business Insiderによると、サムスンの次期ヘッドセットは「アップルが取り組んでいるものへの恐怖に対する直接的な反応」とのことだ。空間コンピュータことApple Vision Proが6月に発表されることは、織りこみ済みの動きだったのだろう。

Android XRの他に、GoogleはARメガネ用の「micro XR」という新たなプラットフォームにも取り組んでいるという。アップル製品は目標も価格も高めになりやすいが、こちらは庶民が手の届く仕様を期待したいところだ。

なお、これまでGoogleが開発・販売中止したサービスやハードウェア製品は「Killed by Google」にまとめられている。

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