モデレーションを放棄するSNSもありますが…
Bluesky、2024年にユーザー数が約9倍に増加。今後はモデレーションの効率化を計画
Twitter風分散型SNSとして注目を浴びつつも、ユーザー招待制を敷いて緩やかなユーザー数の増加を選択していたBlueskyは、昨年2月に誰でも自由にアカウント登録が可能になり、ユーザー数の増加ペースも加速した。
特にBlueskyの生まれ故郷とも言えるX(旧Twitter)で、たとえばブラジルで使用禁止になったり、イーロン・マスク氏がブロックの仕様を変更したりといった、なにか問題となる動きが発生すると、Blueskyへのユーザーの流入ペースが増加するという傾向が顕著になっていたように感じられた。
そして昨年の11月には、Xが利用ポリシーを変更し、ユーザーの投稿したコンテンツをAIの強化学習に使用することを明記、さらにドナルド・トランプ氏が米大統領選挙で勝利し、同氏を支援していたイーロン・マスク氏が政府に関連する重要ポストに就くことが決定的になったことなどを受けて、Xがもはやかつてとは異なる場になったと感じたのか、ユーザーが大量にBlueskyにアカウントを作成。一時は1日あたり100万人以上が新規登録する大きな流れを生み出した(多くの人はXにアカウントを残しているが、それでもXは大統領選挙後最初の1週間だけでユーザー数が11万5,000件も現象したとされている)。
こうした様々な出来事があった結果、2024年のBlueskyが当初289万人だったユーザーベースが、年末には2,594万人へと、ほぼ9倍に成長した。
ただ、ユーザー数が急激に増加すれば、次第にトラブルが起こる可能性も高まることは避けられない。Blueskyでも、「嫌がらせ、荒らし、不寛容」や、誤解を招くコンテンツ(なりすましやフェイクニュース)といったコンテンツモデレーションが必要となる問題を含む投稿に対処する機会が増え、モデレーター要員を約100人規模(従来の約17倍)にまで増強せざるを得なくなっていることが、先週発表したモデレーションレポートで明らかになった。「モデレーターの中には、子供の安全を専門とする者」など特定の分野に長けた要員も強化されているとのことだ。
このレポートによれば、2024年はユーザーの増加ペースが加速したことで、初めてモデレーションレポートに処理遅れが生じたという。
たとえば昨年8月下旬のブラジルでのXの禁止措置が行われた際のBlueskyユーザー数の急増でポルトガル語の投稿が増えたのに対応するため、同言語に堪能なモデレーターを追加するなどといった変化が必要になった。
モデレーションレポートを受けた投稿は他に、「違法かつ緊急の問題」や「望ましくない性的コンテンツ」などがあった。さらに分類が難しい「その他」に分類される報告が72万6,000件もあったとのことだ。「法執行機関、政府、法律事務所」からの要請も146件含まれていた。
Blueskyは2025年に、こうしたモデレーションに関する報告や、それに対する異議申し立てにおけるユーザーとのコミュニケーション方法を効率化する予定としており、対処が必要なコンテンツを報告したユーザーに対し、対応実施の報告や追加情報の提供などが計画されている。
さらに将来的には、コンテンツを削除されたユーザーがアプリから異議申し立ての手続きを取れるようにするといったことなどが計画されている。現在はこうした手続きは電子メール経由での対応になっているが、2024年だけでも9万3,076人が少なくとも1つのモデレーション決定に対して異議を申し立て、20万5,000件の個別の異議申し立てがあったとのことだ。