膨張しやすさをどのようにクリアしていくかが課題
アップルとサムスン、スマホの厚さそのままで容量増のシリコンカーボンバッテリー開発中か
中国のスマートフォンメーカー各社は、新方式の「シリコンカーボンバッテリー」への移行を加速している。2023年初めにHonor「Magic5 Pro」が採用したのを皮切りに、Xiaomiも最新スマホ「Redmi Turbo 4」で6550mAhの大容量を搭載すると発表済みだ。
そんななか、アップルとサムスンもシリコンカーボンバッテリーの開発に取り組んでいるとの噂が報じられている。
韓国Naverのニュースアグリゲーターyeux1122氏は、両社がバッテリーの厚みを維持、あるいは薄くしつつ容量を増やすため「新素材を使ったバッテリー」を開発中だと主張している。同氏は“iPhone 15シリーズ”でも常時表示はPro限定であり、15インチMacBook AirにM3チップが搭載されないこと等、公式発表前に正確な情報を発信していた。
シリコンカーボンバッテリーとは、リチウムイオン電池の負極材料を従来のグラファイト(黒鉛)からシリコンに置き換える方式のことだ。
シリコンはエネルギー密度が高いため長い持続時間が実現でき、バッテリーの軽量化やコンパクト化も可能となるほか、充電速度の向上や長寿命化、高温・低温環境下での安定性も期待できる。現時点では、EV(電気自動車)産業でも注目を集めているが、充放電時に膨張・収縮しやすく、バッテリーの劣化や寿命の短縮につながるという課題もある。
アップルの「iPhone 16 Pro Max」は4685mAh、サムスンの「Galaxy S24 Ultra」はが5000mAhであり、ともに中国勢に遅れを取りつつある。この限界を超えるためには、シリコンカーボンの領域に踏み込まざるを得ないだろう。
しかし、上記のRedmi Turbo 4は5万円前後の低価格製品であり、バッテリー以外の性能はさほど高くない。それに対してアップルやサムスンのハイエンド製品は限られた内部スペースに高密度に部品を詰め込んでいることから、新型バッテリーを搭載するための再設計にも時間がかかるだろう。
yeux1122氏によれば、サムスンは正極・負極材料の開発にも直接関与しており、「全く新しいバッテリー」を目指しているという。同社内では、シリコン含有率を劇的に増やす新たな材料組成や、膨張などの問題を解決する策がいくつかあるとのことだ。
かたやアップルもほぼ同じ戦略を採っており、2026年以降に初採用する見通しだという。同社が独自設計バッテリーに取り組んでいることは、米Bloombergも報じていた。