マスク氏が資金援助を止めたためOpenAIは利益追求に転換という説も

イーロン・マスク、OpenAIが営利目的となることを差し止めるよう4度目の提訴

Image:Adrian Tusar/Shutterstock

実業家イーロン・マスク氏の弁護士は、OpenAIを再び提訴した。同社と共同創設者の数人、資金を提供し緊密に協力するマイクロソフトに反競争的行為があったとして、仮差止命令を求めるものだ。

先週末に米カリフォルニア州北部地区連邦地裁に提出された訴状では、被告としてOpenAI、そのCEOであるサム・アルトマン氏、社長のグレッグ・ブロックマン氏、マイクロソフト幹部のディー・テンプルトン氏、LinkedInの共同創業者リード・ホフマンが名指しされている。

今年3月、マスク氏はAIを「人類の利益のために」構築するという創設時の使命に違反したとして、初めてOpenAIを提訴した。その数か月後に訴訟を取り下げたものの、さらに8月には改めて別の訴訟を起こし、先月半ばにはマイクロソフトを被告に加えていた

新たな申し立てで差止を求めている行為は、ざっと次の通りだ。

  • 投資家に対し、マスク氏の持つxAIのようなOpenAIのライバル企業への出資を控えるよう指示する
  • OpenAIとマイクロソフトの関係を通じて「不当に入手した競争上の機密情報」から利益を得る
  • OpenAIのガバナンス構造を営利目的に転換し「OpenAI、その子会社、または関連会社が所有、保有、または管理する知的財産を含む、あらゆる重要な資産を譲渡」する
  • OpenAIに、被告らが「重大な金銭的利益」を持つ組織と取引させる

特にOpenAIの「非営利団体から巨大な営利企業へと変貌を遂げる道のり」は、それ自体が「反競争的行為であり、慈善事業の使命に対する明白な違反であり、自己利益追求の横行に満ちている」と非難。さらに、差止命令が認められない場合は「原告および一般市民に深刻な被害」が生じると主張している。

元々OpenAIは非営利のAI研究団体として発足したが、2019年にはcapped-profit(利益上限付き)に転換し、非営利団体が営利目的の子会社を統治する形となっている、さらに最近では、営利企業への再編を進めていると報じられていた

そもそもOpenAIが利益追求に転換したのは、マスク氏が遠因という見方もある。同社の共同創設者の1人であるマスク氏はOpenAIを買収しようとしたものの失敗し、約束していた資金援助もストップしている。予算に大穴が開いたOpenAIとしては、資金を稼ぐ必要に迫られたというわけだ。

今回の件につきOpenAI広報は、米TechCrunchなど各誌に「イーロン氏の4回目の試みは、またもや同じ根拠のない苦情を蒸し返すもので、まったく正当な理由がない」との声明を寄せている。

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