血糖値センサーがようやくiPhoneに近いサイズになった
アップル、超極秘裏に血糖値管理アプリをテスト?将来のApple Watchに統合か
アップルが今年初め、社内で「糖尿病予備軍の人々が食事摂取量を管理し、生活習慣を改善する」ことを支援するアプリをひそかにテストしていたとBloombergが報じている。
同社の内部情報に詳しいMark Gurman記者によると、血糖値測定機能への取り組みの一環として、一部の従業員を対象にアプリのテストを実施したという。もっとも、「アプリのリリース予定はない」とのこと。その代わり、10年以上にわたり開発してきた非侵襲的(注射針等で身体を傷つけない)血糖値トラッカーなど「将来の健康製品に統合する可能性がある」とのことだ。
この研究は、アップル社内では「極秘裏に進められて」おり、他のプロジェクトよりも秘密主義が徹底されたという。従業員はプログラム参加前にマネージャーから特定の審査を受け、さらに医療契約や秘密保持契約も求められたと伝えている。
テスト参加者は、血液検査で糖尿病予備軍だと確認された人々だ。現在は糖尿病を患っていないが、2型糖尿病(血糖が正常より多くなる病気。最も多いタイプの糖尿病)を発症するリスクを抱えている状態である。
テストの一環として、市販されている様々なデバイスにより血糖値を積極的に監視し、食物摂取に応じた血糖値の記録を記録したとのこと。つまり、アップルが開発したモニター装置ではなく、既製品を使ったというわけだ。
このアプリの目的は、特定の食品が血糖値にどのような影響を与えるかを消費者に示すことであり、それにより糖尿病を予防する行動の変化を促すことだ。例えば、ユーザーが昼食にパスタを食べたこと、血糖値が急上昇したことを記録すれば、パスタを食べるのをやめるか、タンパク質の多い食事に切り替えるようアドバイスするという具合だ。
現状では、アップルは他の健康機能に注力するため、本アプリのテストは一時中断しているという。しかし、社員を対象としたテストの実施は、「Apple Watch」の“睡眠時無呼吸の検出”や「AirPods Pro2」 の“聴覚の健康”など、後に一般公開されたヘルスケア機能でも行っていたことだ。
皮膚を傷つけない非侵襲性の血糖値センサーは、糖尿病患者にとっても悲願と言われる。アップルも長年かけて開発に取り組んでおり、昨年初めに「概念実証」段階にたどり着いたと報じられていた。とはいえ、以前は卓上サイズだったものがようやくiPhoneに近いサイズになったということで、Apple Watchに搭載するまでの道のりはまだまだ遠そうである。