糖尿病患者のストレスが大きく減るはず

Apple Watch向け血糖値センサー、実現へ大きく前進。「概念実証」段階に

Image:blackzheep/Shutterstock.com

アップルは長年にわたり、注射針で採血する必要がない、非侵襲性の血糖値測定センサーを、Apple Watchに搭載する研究を続けていると噂されてきた。それが実現するのは数年後との報道もあったが、新たに社内でめざましい進展があったと報じられている。

非侵襲性の血糖値センサーは、糖尿病患者にとって悲願とも言われている。皮膚を傷つける必要がなく、日常的に健康状態がモニターできるようになるからだ。

今回の情報発信源は、アップルの社内事情に詳しいBloombergのMark Gurman記者だ。最新記事によると、アップルはそのために吸収分光法(試料に光を照射し、透過または反射された光から物質の状態を測る)を用いており、皮膚の下にレーザー光を当てて体内の血糖値を測定するシリコンフォトニクス(発光素子や受光器、光変調器などの素子を集積)チップを開発しているという。

この技術はまだ、実用化が可能かどうかを探る「概念実証」段階だが、ようやくウェアラブルのサイズに収まったという。現時点の試作機はiPhoneに近いサイズで、腕に装着できるとのことだ。これでも大きいようだが、以前のバージョンは卓上サイズだったそうだ。

試作機はTSMCが開発しているが、アップルは以前、英スタートアップのRockley Photonicsと協力し、血糖値測定センサーとチップを作ったことがあるとのことだ。

Rockleyは2021年、スマートウォッチの背面から赤外線を照射して血圧や血糖値、血中アルコール濃度などを読み取る次世代センサーを開発していることや、アップルと継続的な「供給・開発契約」を締結していることを明らかにしていた。そこからApple Watchへの搭載も期待されていたが、アップルは最終的に関係を解消したという。

この計画には、アップルの社内グループExploratory Design Group(XDG)にて数百人のエンジニアが取り組んでいるものの、やはり実用化は何年も先のことだと述べられている。XDGはGoogleの親会社、Alphabetの機密開発研究所「X」と同じく、アップルが最重要機密として行っている事業とのこと。非侵襲性の血糖値センサー開発には、すでに数億ドルが投じられているそうだ。

このプロジェクトの原点は、共同創業者にして元CEOスティーブ・ジョブズの指示の下、2010年に健康関連企業RareLightを買収した頃に遡るという。過去10年にわたり、糖尿病予備軍や2型糖尿病患者、および糖尿病と診断されていない人々を被験者としてテストが行われてきたと伝えられている。

アップルは人々に糖尿病予備軍であると警告し、発症する前にライフスタイルを変えられるようにしたいと考えているそうだ。すでに同社の規制対応チームは、政府の承認を得るため、初期段階の協議を行っているという。

かつてティム・クックCEOは「予防策を講じるというシンプルな考えを取り入れて、テクノロジーと医療が交差する分野をもっと見いだすことができると思う」と述べ、予防医療の重要性を強調していた

Apple Watchは安い買い物ではないが、個人にとっても国家にとっても医療費を削減する頼もしい味方となるのかもしれない。

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