バッテリー持ちは良くなるはず

将来的にArm版Steam Deckが登場? Valveが互換レイヤーProtonの「Arm64対応版」開発中

Image:Stepan Skorobogadko/Shutterstock

PCゲームプラットフォームSteamを運営するValveが、WindowsゲームをLinux上で動かす互換レイヤーProtonの「Arm64対応」バージョンを開発中であることが明らかになった。ここから、Armチップ版Steam Deckが登場するなど、いくつかの可能性が浮上している。

これはSteamDBに登録された新たなテストアプリ情報から見つかったもので、そこには「proton-arm64ec」バージョンへの言及が確認できる。すでに『Left 4 Dead 2』や『Shadows of Mordor』など、数百もの人気タイトルで検証されているようだ。

Protonは互換レイヤー「Wine」をベースとしており、Direct X等のWindows専用APIをVulkan等のLinux互換APIに変換することで、ほとんどのゲームをそのまま動くようにしている。その実用性の高さは、Valveの携帯ゲーミングPC・Steam Deck(LinuxベースのSteamOS搭載)が多くのSteamゲームに対応していることでも証明済みだ。

ここから考えられる可能性は、1つにはAndroidスマートフォンやタブレットのSteam対応だ。今や大半のAndroidデバイスがArmアーキテクチャのSoCを搭載している。もしも実現すれば、Valveにとって対応プラットフォームの裾野が一気に広がることになる。

第2に、クアルコムの“Snapdragon Xシリーズ”のチップを搭載するWindows PCへの展開だ。折りからのAIブームの過熱に押され、マイクロソフトを初めとした各社がこれを採用した「Copilot+PC」を投入している。クアルコムは「ほとんどのWindowsゲームが動く」と主張していたが、実際には多くのゲームで互換性に難があり、現実とはかけ離れている。

最後の選択肢が、ValveがArmチップを搭載した新型Steam Deckを発売することだ。インテルやAMDのx86/x64系よりもArm系SoCの方が電力効率が優れていることは、上記のSnapdragon Xシリーズチップ搭載Windows PCが証明している。

携帯ゲーム市場では性能よりもバッテリー持ちに重きが置かれるため、将来的にARM版Steam Deckが登場しても不思議ではない。実際、Valveは昨年末に発売した「Steam Deck OLED」でもプロセッサーは変更せず、バッテリー容量を増やしていた

これらの可能性は、それぞれ「ProtonやLinux用であり、Android OSやArm Windows用ではない」「Steam Deck用のチップ供給メーカーをAMDから別の企業に切り替える必要がある」など否定する材料はある。

とはいえ、ValveはSteamOSをROG Allyなど他社製デバイスにも対応させることを明らかにしている。ROG AllyはAMD製チップ搭載だが、将来的にはSnapdragon系に拡張される可能性もあるだろう。その先に、ARMチップ版Steam Deckも計画されているのかもしれない。

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