なぜかマルチコアスコアは低下

iPhone 16搭載チップ「A18」のベンチマーク結果が登場。A17 Proからの性能アップは僅かか

Image:Apple/YouTube

アップルはiPhone 16シリーズに搭載するかたちで、最新プロセッサー「A18」を発表した。まだ製品が一般ユーザーの手元に届いていないなか、早くもベンチマークアプリによるスコアが初登場し、性能の一端がうかがえる内容となっている。

これは人気ベンチマークアプリの投稿サイトGeekbench Browserにて公開されたものだ。それによればA18のシングルコアスコアは、A17 Proと比べて約10%向上している。アップルは過去プロセッサーに対する優位を強調する際に、4年前のA14 Bionicを引き合いに出す一方、A17チップとの比較を避けていた。

Image:Apple

そもそもA17 ProはTSMCの第1世代3nm技術(N3B)、A18チップは第2世代3nm技術(N3E)で製造されており、どちらも3nmプロセスである。またN3Eはプロセスを簡略化して製造コストを削減し、歩留まりを高めるもので、集積密度の向上に重きは置いていない。

その一方、A18のマルチコアスコアは非常に低く、A16 Bionicと同等で、A17 Proよりも約8%遅くなっている。アップルはA16よりも30%速くなっていると主張していたので、かなり不可解な結果ではある。

もっとも、ベンチマークアプリが新型チップに最適化が間に合わず、不当に低スコアが出ることは珍しくないため、Geekbench 6のアップデートを待った上で再検証した方が良さそうだ。

Image:Geekbench Browser

また、ベンチマーク結果にある「iPhone17,3」という識別子はiPhone 16に対応している。iPhone 16 Pro搭載のA18 Proチップでは、より有望な結果が出る可能性が高いだろう。

そうしたベンチマークスコア以上に、気になるのがピークパフォーマンスの持続、要は「どれだけ冷却性能が高まり、サーマルスロットリング(過熱による破損を防ぐための動作クロック低下)を防げるか」だろう。

iPhone 15 Proモデルは、発売直後は過熱に苦しめられていた。その反省のためか、iPhone 16シリーズは内部デザイン刷新により放熱性が向上したと強調している。来年の「iPhone 17 Pro Max」ではベイパーチャンバーも導入すると予想されているが、プロセッサーの性能が向上するにつれ「放熱」が大きな課題となりそうだ。

関連キーワード: