Spotifyがアップルに手数料を支払いたくないため?

アップル、Spotifyアプリ内にEUでの価格表示を許可。しかし公式サイトへのリンクなし

Image:Matthew Nichols1/Shutterstock

アップルがEU域内にて、ついにSpotifyのiOSアプリ内で無料期間の終了後に有料プランの価格を表示することを許可した。これまで両社の確執が長らく続いてきたなかで、大きな方針転換となる。


この動きは、アップルがSpotifyによる「基本的な価格とウェブサイト情報」を追加するアプリ更新を拒否してから3か月後、欧州委員会がアップルの行いは競争法(独禁法)に違反しているとして20億ドルもの罰金を科してから4か月後のことだ。

欧州委員会による措置は、Spotifyからの「アップルが自社のApple Musicに代わる安価な音楽ストリーミングサービスをユーザーに伝えることを妨げている」との訴えを4年がかりで調査した結果である。罰金は約5億4000万ドルになると噂されたが、実際はその4倍近くとなった。

Spotifyは長年にわたり、アップルがApple Musicと競合するアプリに対して、刻々と変わるルールと30%の手数料を課すことで「度しがたい」状況を作り出していると非難していた。そもそもアップルは、アプリ内課金を実装しないSpotifyに対して、アプリ内で月額料金を表示することを許可さえしなかった。

ようやくアップルがアプリ更新を承認したので、iOSアプリ内で有料プランの価格やプロモーションオファーを確認できるようになった。また、「Spotifyのサイトにアクセスしてアイテムを購入できる」というメモも表示可能となっている。これらの仕様は、すでにAndroidアプリが実現していたものだ。

しかし、Spotifyは「戦いは続く」という。依然として、アプリ内にSpotifyサイトへのリンクがないからだ。

同社は声明にて「アップルが違法で略奪的な税金を要求し続けているため、SpotifyやEUのすべての音楽ストリーミングサービスは、アプリ内でリンクをクリックして購入できる簡単な方法を消費者に自由に提供できないままだ」と述べている。

ここでいう「違法な税金」とは、EU域内のiOSアプリが外部決済にリンクできるものの、その場合アップルが売上の一部を徴収することだろう。つまりアップルが許可しないのではなく、手数料を拒絶するSpotifyがあえてリンクを貼らないと思われる。

アップルが頑なに守ってきた方針を撤回した、大きな一歩には違いない。とはいえ、ようやく譲歩を勝ち取ったSpotifyは、さらに攻勢を強めそうではある。

関連キーワード: