リーダーの流出続く
OpenAI共同創業者 シュルマン氏が離職、ライバル企業Anthropicへ。製品担当VPのデン氏も去る
OpenAIから主要な幹部2人が退職することが明らかになった。共同創業者のひとりであるジョン・シュルマン氏は、すでにライバルのAIスタートアップであるAnthropicへの入社が決まっているという。
シュルマン氏は、OpenAIのスタッフに送ったメモをX(Twitter)に公開し、企業幹部としてよりも、もっとAIシステムを人々の目的や倫理原則に沿うようにするAIアライメント研究のために実践的な技術業務に戻りたいとの心境が語られている。そして「Anthropicであれば、新しい視点を得るとともに、最も関心あるトピックに深く関わる人々と一緒に研究ができると信じている」と、新天地への期待を述べた。
ただ、シュルマン氏はOpenAIに不満があったわけではなく「決断は個人的なもの」であり、OpenAIに誘ってくれたサム・アルトマン氏とグレッグ・ブロックマン氏らには感謝しているとした。
OpenAIでのシュルマン氏は、強化学習済みの大規模言語モデルを改良するチームを率いていた。そして同社が将来人類に脅威を与える可能性のある強力なAIモデルの調整をおこなうための「スーパーアライメント」チームを解散した後、OpenAIはシュルマン氏が今後は安全対策担当になるとしていた。
このスーパーアライメントチームに関しては、かつてリーダーのひとりだったヤン・ライケ氏がXへの投稿で、この会社は「安全文化とそのプロセスが派手な製品の宣伝のために後回しにされてきた」と述べていた。
今年5月には、やはりOpenAI共同創業者でチーフサイエンティストだったイリヤ・サツケヴァー氏も同社を去っている。サツケヴァー氏はアルトマン氏解任のゴタゴタの際、当初は理事会側に与していたが、途中でアルトマン氏復帰に翻り、事件後もチーフサイエンティストの肩書きは持っていた。しかしその実は、職務に復帰することはなかったと伝えられている。
なお、シュルマン氏の離職と同じタイミングで、製品担当副社長のピーター・デン氏もOpenAIを去ることが明らかになっているが、こちらは今後の動向は伝えられていない。ただOpenAIは今年6月、新たに最高財務責任者(CFO)と最高製品責任者および最高製品責任者(CPO)を採用しており、これがデン氏の立場に影響を及ぼした可能性はあるかもしれない。
OpenAIからは、設立当初重視していた理念である「AIの安全性」に関わってきたリーダーたちが相次いで流出している。この動きは、解任騒動を経たアルトマン氏が、さらに強力に商業化路線を推し進めるようになった影響もありそうだ。同社は7月にもAI安全リーダーのアレクサンダー・マドリー氏を別の役職に異動させている。
ちなみにOpenAI関連では、解任騒動時にアルトマン氏とともに出戻ったグレッグ・ブロックマン氏が数か月の長期休暇を取得したことも明らかになっている。しかしこちらは、休暇後は会社に戻る予定とのことだ。
- Source: The Information
- via: Engadget