M1チップが優秀すぎた?
AppleシリコンMacがインテルMacより「長く使い続けられる傾向」が明らかに
アップルがMac用プロセッサーをインテル製から自社製の「Appleシリコン」に移行してから、以前より速いペースでの新型プロセッサー採用が可能となり、毎年のように新型Macが発売されるようになった。だが逆に、ユーザーが過去モデルを使い続ける期間が長くなったとの調査結果が発表された。
米市場調査会社CIRPの最新レポートによると、Macの過去モデルを2年以上使い続けるユーザーの割合は、2020年の59%から2023年には68%に増加したという。この傾向は、iPhoneやiPadでも確認されており、アップル製品の全般で何年もデバイスを使い続けるパターンと符合するものだ。
直近12か月のデータでは、iPhone所有者のうち2年以上前のモデルを持っている人の割合は71%であり、2020年の63%から増加。古いiPadを持ち続ける割合も少し増えており、アップルの主要製品すべての買い替え頻度が落ちているようだ。
この変化には、いくつかの原因が考えられる。まずアップルへの知見の深さに定評あるBloombergのMark Gurman記者は、「ワクワクするような画期的な機能が大幅に減ったこと」と「信頼性と耐久性に優れた製品が増えたため、はるかに壊れる頻度が減ったこと」の2つを指摘。実際、CIRPもiPhoneの耐用年数が長くなっているとの調査結果を公表していた。
またCIRPは、ユーザーがストリーミングやWebベースのアプリへの依存を深めるにつれ、コンピュータを買い替える動機が薄れているとも分析している。負荷の高いタスクをクラウドサーバーが処理するのであれば、ローカルPCが高性能である必要性は乏しく、Webブラウザが軽快に動くスペックがあれば十分ということだろう。
さらに近年のコンピュータはバッテリー持続時間が十分に長くなっており、「満足のしきい値に達している可能性がある」とも述べている。
主な比較対象となった2020年といえば、ちょうど初のAppleシリコン「M1」チップ搭載Macが発売された節目の年である。特にM1 MacBook Airは、ほぼ1日充電しなくとも快適に使えるバッテリー持ちの良さが驚かれていたが、その後は劇的といえる飛躍的な伸びもない。また1日から2日に倍増したとしても、それを求めるニーズは少なそうではある。
Appleシリコン搭載Macは当初、インテル版Macと比べて電力効率と処理速度が強化されつつ、懸念されたソフトウェアの互換性もほぼクリアして買い換えブームを呼んでいた。しかし、まさにM1の衝撃が大きすぎたために「それ以上」があまり望まれなくなったジレンマに直面しているのかもしれない。