クアルコムは7年間で5倍近く値上げ
「Galaxy S25」シリーズはMediaTekチップを採用か。背景にSnapdragonの高騰
サムスンの次期フラッグシップ機「Galaxy S25」シリーズは、全モデルがクアルコム製の「Snapdragon 8 Gen 4」を搭載すると噂されている。独自開発している「Exynos 2500」を自社の3nm製造ラインで量産することは、歩留まりが低すぎるため現実的に間に合わないと見られているからだ。
そんななか韓国メディアThe Finaicial Newsが、MediaTekのDimensityチップも搭載することを検討していると報じている。
これは次期タブレット「Galaxy Tab S10」シリーズにSnapdragon 8 Gen 3の代わりにDimensity 9300+の搭載が噂されていることから、突拍子もない話でもない。最近は人気ブランドにもMediaTek製チップを採用する動きが広がっており、英Nothing TechnologyもPhone(2a)にDimensity 7200 Proを搭載している。
その背景には、ここ数年クアルコムのハイエンド向けチップ価格が高騰している事情がある。そもそも現行のSnapdragon 8 Gen 3も割高のため、一部のメーカーはコスト削減のためDimensityチップを使うかもしれないとの噂があった。さらに、次のSnapdragon 8 Gen 4は最大30%値上げになると著名アナリストMing-Chi Kuo氏が予想している。
どれほどSnapdragon 8シリーズが値上がりしているかといえば、この7年間で5倍近くに上るという。
今回の報道ではどのMediaTekチップが採用されるか特定していないが、次期チップ「Dimensity 9400」が有力候補に上るだろう。Snapdragon 8 Gen 4を「あらゆる面」で上回りつつ、TSMCのN3Eプロセス技術により発熱問題も解決したとの噂もある。
サムスンはGalaxy Sシリーズにおいて、発売地域によって2種類のチップを用意する戦略を採ることがある。たとえばGalaxy S22世代では、Snapdragon 8 Gen 1と自社のExynos 2200搭載の2タイプを用意するという具合だ。
Galaxy S25シリーズでも、一時期はSnapdragon 8 Gen 4とExynos 2500のデュアルチップになると予想されていた。そのうちExynos 2500が、MediaTekチップに置き換えられるのかもしれない。
ここ数年、MediaTekは着々と市場シェアを伸ばしつつある。2024年第1四半期にはクアルコムは7500万個のチップセットを出荷して370億ドルの収益を上げたが、同時期にMediaTekは1億1400万個、230億ドルの売上を記録している。
もしもサムスンがフラッグシップ機にもMediaTekチップを採用することになれば、やがてAndroidスマホ向けチップ市場の勢力図が塗り替えられる可能性もありそうだ。