宇宙の果てにある機械を遠隔修復

ボイジャー1号、7ヶ月ぶりにトラブルから完全復旧。4つの科学機器すべてのデータが正常に

Image : NASA/JPL-Caltech

NASAは、2023年11月から不具合が生じていた、ボイジャー1号からの信号が完全に正常化したことを明らかにした。問題の不具合は、通常なら0と1からなる二進数コードで送られてくるデータが、全く理解不能なデータになってしまうというものだった。

1977年以来、46年以上にわたって宇宙を航行し、いまや地球から約240億kmも離れた星間空間に到達している機械が故障しても、まったく驚くことではないが、ボイジャー1号の運用チームは問題の原因究明に取り組み、それを復旧させることに成功した。

昨年12月の時点で、問題はFDS(Flight Data Subsystem)と呼ばれる、科学機器のデータを送信可能な形式に「パッケージ化」する機器で発生していることがわかっていた。さらに調査を進めた結果、チームはFDSの中の特定のチップが故障しているらしいことを掴んだという。そして、パッケージ化に使うコードをFDSの別の正常なチップで処理できるように移したところ、今年4月20日にようやく4つある科学機器のうち2つのデータが正常になった。

その後チームは、残る2つの科学機器のデータを正常化する作業にも成功し、NASAの運用チームは現在、4つすべての科学機器からのデータを正常に受信できるようになったという。

チームは、引き続き宇宙船を最高の状態に戻すため、計時ソフトウェアを再同期したり、プラズマ波を測定するデジタルテープレコーダーのメンテナンスを行うなどの調整を引き続き行うとしている。

1977年に打ち上げられ、いまもなお太陽圏の外側、星間空間を航行しながら活動を続けているこの宇宙探査機は、搭載する原子力電池の寿命もとうに過ぎた状態だ。不要な機器の電源を個別に落とすことで、最低限の必要な電圧を保っている状態だが、今回の復旧成功により、まだしばらくは有益な情報を宇宙の果てから送り続けてくれそうだ。ちなみに、ボイジャー2号もまだ現役で活動を継続中で、両機は2027年に打ち上げ50周年を迎える。

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