iPad Airやminiの有機ELモデル登場も可能性高まる
「MacBook Pro」有機ELモデル、2026年発売の可能性が“非常に高い”と報告
アップルは「iPad Pro(M4)」に有機ELディスプレイを搭載したことを皮切りに、大型デバイスにも有機EL採用を拡大していくとみられている。その次は「MacBook Pro」であり、2026年に発売される可能性が「非常に高い」と調査会社Omdiaが主張している。
同社が発表したモバイルPC向け有機EL市場の予測レポートによると、この市場は2023年から2031年にかけて年平均37%で成長していくという。多くのブランドが高級ノートPCやタブレットに有機ELを搭載する傾向があるため、とのことだ。
新型コロナ禍のもと、リモートワークや在宅学習のためモバイルPC需要は急増したものの、感染の収束やインフレの進行に伴い2022年~2023年には鈍化。しかし、AI対応PCの登場やAI性能の進歩、さらには2025年後半にWindows 10のサポートが終了するため、需要は回復すると予想している。
そんなモバイルPC向け有機EL市場の急拡大を牽引する役回りが、アップルのiPadやMacBookというわけだ。
まずiPad Pro向けの売上が加わることで、2024年のタブレット用有機ELの需要は前年比で3倍になると見積もられている。M4 iPad Proが高コストのタンデムOLEDを採用しながら「驚きの安さ」により出荷台数が予想を超えようとしているのは、先日もお伝えした通りだ。
さらにOmdiaのアナリストは「アップルは早ければ2026年にMacBook ProモデルにOLEDを組み込む可能性が非常に高い」とコメント。この動きがノートPC市場の有機EL需要を大幅に急増させ、20231年までに6000万台以上に達する可能性が高いと述べている。
この見解は、信頼性の高いディスプレイ専門アナリストRoss Young氏とほぼ同じである。同氏はアップルのサプライチェーン各社がノートPCサイズの有機ELパネルを量産できる体制を整えるには数年かかるとして、2026年~2027年と幅を持たせている。
今回のOmdia報告では、有機EL版MacBook ProにタンデムOLEDが搭載されるかどうかは言及していない。とはいえ、iPad Proの価格を前モデルから最大50%アップさせるとの予想もあったタンデムOLEDは、量産効果によりコストを引き下げるためにも、より幅広いカテゴリへの採用が必要なはずだ。
またOmdiaは「2023年内にサムスンディスプレイと中国BOEの両社は、8.6世代有機EL製造施設への投資を正式に発表し、機器を発注し、大量生産の基礎作りをした」とも伝えている。8.6世代とはノートPC向けのサイズの大きなパネルであり、8.5世代はそれより小さなタブレット用である。
ほか、レポートには「アップルが最終的にはiPad AirやiPadを含むタブレット製品ラインアップ全体に拡大するとの観測も根強い」とある。先日も同様の報道があり、もはや有機ELディスプレイ業界はアップルを中心に大きく動き出しているようだ。