ハイエンド「MacBook Pro」より控え目

新型「iPad Pro」、ディスプレイ専門アナリストは「タンデムOLED採用としては驚きの安さ」

Image:Apple

日本でこそ新型「iPad Pro」の「高価さ」が物議を醸しているが、米国価格はかなり抑えられている。11インチは前モデルが799ドルからだったが999ドルへ、13インチ(12.9インチ)が1099ドルからだったのが1299ドルということで、その差は200ドル。ベースモデルが128GBから256GBに引き上げられたことで、ほぼ値上げ分は相殺されている。

新型iPad Proに採用された「タンデムOLEDテクノロジー」は、有機ELの発光層を2段重ねにすることで、全体の輝度を高め、色制度を向上し、パネルの寿命を延ばす技術である。アップルは新方式のディスプレイを投入するたびに造語を作るが、今回も「Ultra Retina XDR」だとアピールしている。(前「iPad Pro」の12.9インチモデルで採用されたMini LED画面は「Liquid Retina XDR」)

ほか、最新技術をふんだんに投入しているため、ディスプレイ製造コストの上昇も著しく、ハイエンド「MacBook Pro」と同じぐらいの価格になる可能性も指摘されていた。特に11インチは、前モデルが通常の液晶だったため、価格が2倍になるとの予想もあったほどだ。

こうした「安価な」価格設定につき、信頼性の高いディスプレイ専門アナリストが驚きだと述べている。

ディスプレイ関連サプライチェーン調査会社「DSCC」のCEOであるRoss Young氏は、タンデム有機ELパネルとM4チップの高価さを考えると、もっと高くなると予想していた」とX(旧Twitter)で語っている。

フォロワーの1人はYoung氏に対して「安さの定義が違う」と反論。これに対しYoung氏は、タンデムOLEDのコストを考えれば50%以上アップしてもおかしくなかったという。

その一方で、アップルがベースモデルを安く抑える努力も端々にうかがえる。まず、前モデルから超広角カメラが削除されているのは別の記事でも指摘したとおりだ。

また256GB/512GBモデルのM4は9コアCPUとRAM 8GBであり、10コアCPUとRAM 16GBを入手したければ1TB以上を買うほか選択肢がない。256GBと1TBの価格差は10万円以上である。

ともあれ、タンデムOLED採用により価格が極端に上がらなかったことは、今後の有機ELディスプレイ搭載「MacBook Pro」を待ち望んでいるユーザーには朗報だろう。また円安を加味しても「それでも予想されていた値上げ幅よりは控えめ」であり、辛うじてお買い得とは言えそうだ。

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