MacBook Proとどう棲み分けるのか

次期iPad Pro、有機EL採用で“大幅値上げ”か。11インチは価格2倍に?

Image:Dohma48/Shutterstock.com

アップルは2024年、次期3nmチップ「M3」や有機ELディスプレイを搭載したiPad Pro新モデルを発表するとみられている。それに伴いコスト増も予想されていたなか、11インチ・13インチ(12.9インチ後継機)ともに大幅値上げになると著名リーカーが主張している。

リーカーのRevegnus氏はXにて、「すべての情報筋が値上げを確信している」と前置きしつつ、特定の情報筋は、11インチモデルは1500ドル(約22万円)前後、13インチモデルは1800ドル(約27万円)前後を予想していると述べている。

https://twitter.com/Tech_Reve/status/1714768280031010937?s=20

現在、米国での11インチiPad Proの価格は799ドル(日本では12万4800円)~、12.9インチモデルは1,099ドル(同17万2800円)~であり、いずれも700ドル近い値上げとなる。

ここ数年、iPad Proのディスプレイは11インチが通常の液晶、12.9インチはミニLEDバックライト液晶と差別化されてきたが、来年はどちらも有機ELに統一される見通しだ。

そして大幅値上げの理由も、主に有機ELディスプレイ化によるコスト増との報道があった。韓国の電子業界誌The Elecは、有機ELパネルが材料費のなかで最も大きなウェイトを占めていると指摘。またiPad Pro用の有機ELパネルは、「ツースタックタンデム構造」や「LTPO TFT」など高度な技術を使うため、既存の同じサイズより2~3倍もコストが掛かるとのことだった。

ツースタックタンデム構造とは、赤、青、緑の発光層を2段重ねにすること。そしてLTPO TFTとはディスプレイの駆動素子を制御するバックプレーン技術の一種である。前者は輝度の向上、画面の長寿命化やProMotion(1~120Hzの可変リフレッシュレート)を、後者は電力効率とパネル全体の薄型化が実現するものだ。

11インチが(値上げ幅は同じながら)ほぼ倍の価格となるのは、「通常の液晶から有機EL」への飛躍幅が、12.9インチ/13インチの「ミニLEDから有機EL」よりも大きいからだろう。

これら価格予想は、3月に伝えられた韓国サプライチェーン情報とも一致している。韓国にはサムスンディスプレイやLGディスプレイといった、アップル製品に有機ELパネルを供給している2大サプライヤーがあるため、信ぴょう性は高いはずだ。

次期iPad ProはM3チップや有機ELディスプレイのほか、大規模な「デザインの刷新」や、アルミニウム素材を使ったMacBookのような新型Magic Keyboardも同時発売されるとの予想もある

今後のMacBookにもM3シリーズチップ搭載が予想されるため、有機EL版iPad Proは「ほぼMacBook」となりそうだ。しかし、モデルによっては価格がMacBook Proを超えることにもなりかねない。アップルがどのように棲み分け戦略を計画しているのか、興味深いところだ。

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