英語圏外での発売はローカライズのため遅れる?

Apple Vision Pro、6月までに米国外でも発売か

Image:Ringo Chiu/Shutterstock.com

アップルの空間コンピュータ(MRヘッドセット)「Apple Vision Pro」は今月初めに米国のみで発売され、他の国や地域での発売時期は公表されていない。そのため、いち早く感動を味わおうと自ら渡米し、現地のアップルストアで購入したファンやライター達が続々と報告していた。

しかし、アップルが6月に開催する世界開発者会議(WWDC)前に、さらに多くの国で発売する可能性があると著名アナリストが述べている。

アップルのサプライチェーン情報に精通するMing-Chi Kuo氏は「Vision Pro最新情報」と銘打ったブログ記事を公開。そのなかで「今年のWWDCの前に、アップルがより多くの国で利用可能にするかもしれない」と予想している。

これまでの前例から、アップルはVision Proをオーストラリアやカナダ、ニュージーランドやイギリスなど、先に英語圏の諸国で発売する可能性が高い。そしてアップル関連情報サイトMacRumorsによれば、フランスやドイツ、イタリア、スペインなどの国々で発売する準備として、visionOSのローカライズ(各国での規制対応も含めて)も進めているという。

さてVision Pro初期の販売状況については、Kuo氏は米国での需要が「大幅に減速している」と述べている。同氏は発売初週の勢いはいいものの、需要が先細りすると見ていたが、予想通りだったようだ。

それらデータに基づき、2024年内の米国での出荷台数は20万~25万台と予想。これはアップルの当初予想だった15万~20万台よりは良いが、まだニッチな市場に留まっている。

さらに、ここ1か月のうちに、いくつかの小規模サプライヤーが年内のVision Pro生産量を50万~60万から70万~80万台に拡大したという。理由の1つは、米国市場でのアーリーアダプターからの需要が予想を上回ったこと。もう1つは「世界各国での出荷時間を短縮するため」とされ、いよいよ米国外での発売準備が本格化したことを窺わせる。

その一方で、ここ数週間はVision Proの返品が相次いでいるとの話がSNSを賑わしていた。しかし、(返品分の処理が回される)修理・再生ラインの調査によると、現在の返品率は1%未満であり、異常ではないという。

また別の記事でもお伝えしているが、返品の20~30%は「ユーザーがVision Proのセットアップ方法を知らない」ことが原因だったとのこと。買ったものの使い道がなかった、以前に初期設定で挫けてしまったようだ。アーリーアダプターであればハイテク製品に慣れているはずだが、実際は熱気に浮かされて手を出した初心者が少なくなかったのかもしれない

すでにアップルはVision Proの製品ロードマップ(今後のシリーズ製品)に向けた次期モデル開発のために、ユーザーからのフィードバックを集めているという。大幅な変更を加えた新モデルの量産開始は2027年になるとのことで、著名ジャーナリストMark Gurman氏の「(2024年2月現在から)1年半後」という予想より少し遅めである。

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