プロセッサーの非力さを超解像技術で補う予定だった?

マイクロソフト、「Xbox Series S」強化型を検討。しかし“モデル増えすぎ”の懸念から開発中止か

Image:m.andrei/Shutterstock.com

次世代ゲーム機に関する情報開示については、それぞれの企業によりスタンスに大きな違いがある。任天堂は噂が飛びかうなかで沈黙を貫く一方で、ソニーのPlayStation 5は「コンソールサイクルの後半」に入ったとして次世代ハードへの意識を示唆するという具合だ。

そんななかで、マイクロソフトはかなりオープンである。先日の公式ポッドキャスト番組でも、「次世代ロードマップに力を入れている」と明言していた

だが、実は現行の下位モデル「Xbox Series S」の強化版が検討されていた時期もあったが、いくつかの懸念から最終的に中止されたとの噂が報じられている。

ゲーム業界のインサイダー情報に詳しいRedGamingTech(Paul Eccleston)は、Xbox Series Sの強化モデルはRDNA 3ベースのGPU(現行Xbox Series X|SのGPUはRDNA 2)、全般的なスペック向上、RAM容量の増加、さらには超解像のための機械学習機能を搭載する予定だったという。

しかし、このプロジェクトはかなり早期の段階で中止され、中核となるAPU(AMD製チップ/CPUとGPUを総合したもの)さえも完全には具体化されなかった。またXbox Series Xの強化版も計画されたが、さらに早くキャンセルされたと述べている。

これら強化型モデルが開発中止になった理由につき、情報筋はいくつかの懸念のためだと語ったという。まず、マイクロソフトと一部のゲーム開発者は、SKU(在庫管理の単位。この場合はモデルのバリエーション数)の飽和を懸念したとのこと。同時に4つのSKUを市場に投入すると、様々な問題が起こる可能性があった。

さらにXbox Series S強化型については、マーケティング上の懸念があった。最下位モデルよりもパワフルだが、Xbox SeriesXには及ばないゲーム機を売り込むのは難しいというわけだ。

これらの噂話は、他の情報源による裏付けが取れていない。が、現世代のXboxハードウェアを増やせば共食いになること、Series S強化版の位置づけが不明という理由は間違いなく妥当だ。また、Xboxトップのフィル・スペンサー氏が中世代アップグレード(次世代未満の強化モデル)が「必要性を感じていない」といった発言とも符合している。

マイクロソフトとソニーともに、次世代ゲーム機の開発に着手していることは明らかだ。前者は「1つのハードウェア世代で見たこともないような技術的な飛躍」を実現するといい、後者は「同世代ハードで最もパワフルなゲーム機」を目指すと噂されている

それにより、さらなるゲーム機の価格高騰を招く可能性もあるだろう。さほど「飛躍的」ではない性能に抑えるであろうNintendo Switch後継モデルが両社の激突とは距離を置き、現行機から市場シェアを引き継ぐのかもしれない。

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