製品担当者「それをすてるなんてとんでもない」

ジョニー・アイブ氏はMacBook AirとProの統合を望んでいたとの噂話

Image:Lastroll / Shutterstock.com

アップルの元最高デザイン責任者ジョニー・アイブ氏は、在籍中に同社の製品に絶大な影響を与えたことで知られている。初代Apple Watchに最高価格200万円以上(当時)のEditionモデルが登場したことも、同氏の「ラグジュアリー」な理想を反映したものだった。

そんなアイブ氏が、MacBook AirとMacBook Proの製品ラインを統合して1つのマシンにすることを希望していたとの逸話が報じられている。

これはテック系の著名ジャーナリスト、ウォルト・モスバーグ氏が匿名の情報源を元に、Podcast番組The Vergecastで述べていることだ。同氏は故スティーブ・ジョブズ氏のお気に入りだったことでも知られており、数年前にThe Wall Street Journalを退社している

モスバーグ氏の情報源は、アップルの計画と製品に精通しているとのこと。この人物は、アイブ氏がProモデルを軽く、薄く、さらにはMacBook Airよりも薄くしたいと考えていたと述べている。当然ながら、これは統合モデルが必然的により高価になることを意味している。

ジョブズ氏は一般ユーザーとプロの両方をカバーできるとしてMacBook ProとAirの併存を望んでいたが、アイブ氏は1つだけを望んだ。すべてを自らで判断するジョブズ氏が存命の頃はブレーキが利いていたが、後継者のティム・クックCEOはそうしなかった。

アイブ氏がProとAirの統合を望んだことにつき、同氏が率いるデザインチームおよび信奉者達と、エンジニアリングおよび製品マネージャーの間では「大きな抗争」が起こったという。「より高価格のマシンにすることで、利益を上げられ、余分なパワーが必要なくても人々は買うだろう」とのデザイン最高責任者の考えをめぐり、MacBook関連スタッフは真っ二つに割れたようだ。

結局、「製品担当者とエンジニアが何とか引き戻した。そして最小限の変更しか加えていない、新型MacBook Airを発表した」とモスバーグ氏は語っている。手頃な価格のMacBook AirはMacの中でも出荷台数が最も多いことから、販売戦略的にも廃止はあり得なかったのだろう。

アイブ氏は美しさや薄さにこだわる傾向があり、一時期のMacBookモデルに搭載されたバタフライ式キーボードにも関わっていたとの噂もある。非常に薄いもののゴミが入り込みやすい構造となり、集団訴訟も起こされていた

今ではMacBook Airも13インチと15インチの2種類となり、まもなく3月末にはM3を搭載したリニューアル版が登場する可能性が高まっている。それだけアップルにとってMacBook Airは重要な製品ラインナップとなっていると窺われ、廃止しなくて正解だったのだろう。

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