その裏ではLGイノテックがサプライヤーから外される?

将来iPhoneの望遠カメラは光学5倍から10倍ズームに進化か

Image:Apple/YouTube

iPhone 15 Pro Maxは、光学5倍ズームのテトラプリズム望遠レンズ(一般的にはペリスコープ望遠レンズ)を搭載した初のフラッグシップiPhoneだ。今年は大型モデルのみに留まったが、次期「iPhone 16」シリーズでは、両Proモデル共に採用することが有力視されている

そんななか、アップルは将来のiPhoneでは光学倍率を10倍にアップしつつ、テトラプリズム関連パーツの調達先から現在のLGイノテックを外し、中国サプライヤーに置き換えるとの噂が報じられている。

韓国の投資情報メディアKr.Investingによると、アップルは「次世代折りたたみ式ズームアクチュエーター」のサプライヤーからLGイノテックを除外することを暫定的に決定したという。

ここでいう「折りたたみ式」とは、テトラプリズム望遠レンズのこと。プリズムにより光の向きを変えるため、スマートフォン本体に対して横方向にレンズを配置でき、あたかも折りたたんだような構造になっているためだ。

LGイノテックが供給しているのは、正確には光学手ぶれ補正(OIS)アクチュエーターだ。現在はiPhone 15 Pro Max用を独占的に製造しており、来年はProモデルが2つとも光学5倍ズームを採用するため、同社への発注も増える見通しだと韓国メディアThe Elecが報じていた

しかし、今回の情報源いわく、最大10倍ズームの次世代テトラプリズム望遠レンズの供給元は、LGイノテックから中国Luxshareの子会社ICTに置き換えられる可能性が高いという。さらに「アップルとLGイノテック間の信頼関係に深刻な問題が発生した」とも付け加えている。

この「深刻な問題」が、LGイノテックが価格条件で同意しなかったか、供給量や品質がアップルの求める水準を満たさなかったのかは不明だ。通常アップルは、特定のパーツにつき複数のサプライヤーを採用しており(有機ELパネルであればサムスンとLG)、一社独占が続いた前例はあまりない

その一方で、LGイノテックはiPhone用のアンダーディスプレイカメラ、すなわち画面に穴を開けずに自撮りカメラをディスプレイ下に置ける技術を開発する企業の1つだと噂されている。これは現在の前面カメラとFace ID用に2つの穴が開いた形から「全画面iPhone」に移行するためのカギを握るものだ。

今回のテトラプリズムに関するアップルとLGイノテックの確執が本当だとすれば、それが全画面iPhoneの行方も左右するのか。あるいは、そちらもLGに取って代わるサプライヤーが存在しているのか、興味深いところだ。

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