「A14」はインテルの「18A」に対抗しているとの憶測も

TSMC、1.4nmプロセス開発に初言及。2027年以降のiPhone/Mac用チップに投入か

Image:Ascannio/Shutterstock.com

台湾TSMCは先日、次世代の2nmチップ試作品をアップルや大手顧客に披露したと報じられたばかりだ。現在、実際のチップ製造に使われている最先端プロセス(半導体の回路線幅)技術は3nmであり、2nmチップの正式量産は2025年だと言われている。

それに続きTSMCが初めて、将来のAppleシリコン(独自開発チップ)を支えることになりそうな1.4nm製造技術に正式に言及したと伝えられている。

半導体アナリストのDylan Patel氏は、TSMCが国際学会IEDMの「Future of Logic」パネルに、同社の1.4nmプロセス技術が正式名称「A14」だと明かしたスライドの写真を公開している。

今のところTSMCはA14での量産開始時期や仕様に言及していないが、最初の2nmプロセス「N2」が2025年後半、改良版(性能の向上や消費電力の減少)「N2P」は2026年後半とのロードマップは公開済み。「A14」によるチップ製造は、早くとも2027年以降になるだろう。

アップルは、iPhone 15 ProとiPhone 15 Pro Max向けA17 ProチップでTSMCの3nm技術を採用した初のハイテク企業であり、今後も同社の最新ノードに追随していく可能性が高い。

TSMCにとってアップルは最大の顧客であり、初期3nm供給能力もほぼ一社独占だったと見られる。Appleシリコンは他社に供給されないため、TSMCの技術が世界トップにある限り、アップルの競合他社は後れをとり続ける可能性が高いだろう。

もっとも「A14」という名称は、iPhone 12に搭載された「A14 Bionic」とも被り、紛らわしいとの指摘もある。これに関しては、半導体受託製造でTSMCと競合するインテルの次期プロセスノード「Intel 18A」より勝っている印象を与えるためではないか、と推測する声もある

その一方で、アップルはiPhone用チップの設計をApple WatchやMac用チップに流用する、スケーラブル・アーキテクチャを採用していることが知られている。つまりスマートフォンと共にPCやスマートウォッチ向けチップも進化しつつ連携しやすい戦略を採っているため、総合的なエコシステムでも強さを発揮できるのだろう。

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