Snapdragon X Elite搭載PCも準備中

Windows 12は「2024年後半」に登場? ただし古いPCはAI機能が制限される可能性

Image:Microsoft

マイクロソフトが次期「Windows 12」の準備を始めていることは、今年初めから噂されていた。それに続き、同OSが開発コード名「Hudson Valley」(ないしGermanium)のもとAIに強く重点を置き、2024年後半にリリースされる見込みだと報じられている。

マイクロソフトの未発表製品に詳しいWindows Centralは「独占情報」として、今後のWindowsにつき見通しを伝えている。長きにわたりWindows部門を率いたパノス・パネイ氏は9月に同社を去ったが、今や新たなリーダーシップのもとで新たなWindowsロードマップが形成されつつあるという。

まず新たなリーダーは、Windowsの新機能アップデートを年1回に戻そうとしているとのこと。最近は毎年いくつか小さめの更新をしていたが、それを新機能満載の大型アップデート1回にしようというわけだ。

次に「Hudson Valley」の初期バージョンは現在、Windows Insider Canaryチャネルでテストが行われている。これは表向き「2024年の次期Windowsメジャーバージョン」とされているが、最終的にはWindows 12となることが以前から噂されていた

RTM(開発完了)バージョンは2024年4月にリリースされるが、既存PC向けのアップデートとして公開されるのは9月か10月の予定とのことだ。

Hudson Valleyの主眼は、OS全体に織り込まれ統合される次世代AI体験となる。その目玉機能は、AIを搭載したWindowsシェルと「高度なCopilot」の導入にあるとのこと。それらは常にバックグラウンドで動作して検索、プロジェクトやワークフローの起動、コンテキストの理解などができるという。

また自然言語を使って、以前開いたものや見たものを探すことも可能に。ドキュメントの名前や内容を覚えていない場合は「数日前に○○がWhatsAppで送ってきたドキュメントを探して」と言葉で尋ねればいいとのことだ。

ほか、NPUを使ってビデオやゲームの画質を向上させる超解像技術「Super Resolution」や、ビデオの音声やライブ通話などを、様々な言語でリアルタイム翻訳も出来る見通しだという。

ただし、その多くは新たなNPU(Neural Network Processing Unit)内蔵ハードウェアを必要とする可能性が高いそうだ。古いPCはAI関連機能の一部が使えなくなるかもしれない。

情報筋によれば、OEMメーカー各社は早ければ2024年6月にも、同OSを搭載したArm PCの出荷を開始。その理由は、クアルコムの次期チップ「Snapdragon X Elite」にあるという。このチップは高性能なNPUを搭載して「2024年半ばまでに出荷」が予告されており、ちょうどタイミングが合う。

つまり、マイクロソフトは初めて既存PCへのアップデートが準備できる前に、Windowsプラットフォームの新バージョンを出荷することになる。先に発売されたHudson Valley搭載PCは新機能のほとんどを使えず、秋に「Windows 12」として一般公開されるまで待つことになるようだ。

Windows 10から11に移行する際も、ハードウェアの必要要件が厳しく、古いPCが足切りされると不満の声が上がっていた。次のWindows 12は、数年前のPCもアップデート対象になるものの、AI機能が使いたければハードウェア買い替えを勧められそうだ。

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