独自開発モデムとiPhone SE 4はセット
「iPhone SE 4」2026年に延期の可能性。アップル独自5Gモデム開発難航か
アップルが、iPhoneに搭載されているクアルコム製の5Gモデムチップを、独自開発チップに置き換えようとしているのは公然の秘密だ。そして、開発が難航していることも何度か伝えられてきたが、今なおトラブル続きだとBloombergが報じている。
アップルは2019年、インテルのスマートフォン向けモデム事業の大半を買収し、独自モデムの本格的な開発をスタートした。それから約4年が経過したが、クアルコム製チップと同等か、それ以上の性能を発揮できるチップを作るには「まだ何年もかかる」という。
同社の内情に詳しいBloombergのMark Gurman記者によれば、当初は2024年までに自社製モデムチップを完成させるつもりだったという。だがこの目標は達成できず、2025年春に延期したものの、こちらも達成できそうにないようだ。
現時点では、モデムチップの投入は2025年末~2026年初頭まで延期。以前からの予定通り、iPhone SE後継モデル(第4世代、通称「iPhone SE 4」)に搭載する予定とのことだ。
まだモデムチップの開発は初期段階にあり、あるバージョンでは高速なミリ波にも非対応だという。また、これまで使ってきたインテルのコードを書き換える必要があるものの、新機能を追加すると既存の機能が壊れてしまう。さらに、クアルコムの特許を侵害しないように注意しなければならない…と問題は山積みのようだ。
アップルの匿名従業員は、「なぜインテルから失敗したプロジェクトを引き継ぎ、どうにか成功できると考えたのかは謎だ」と述べている。また、社内ハードウェア技術グループは多くのプロジェクトを並行していて「手薄」になっており、バグを解決するのが難しいとも言われている。
一般ユーザーにとって、将来のiPhoneにクアルコム製5Gモデムチップが搭載されるのか、アップル独自開発チップになるのかは、縁遠い話だろう。
MacのMシリーズチップのように、独自開発で性能が上がるならまだしも、従来のクアルコム製より下がる恐れがあるなら、なおさらのことだ。高価なクアルコム製よりも製造コストは下がるかもしれないが、アップルの利益率が上がるだけで、iPhoneの値下げには繋がらない可能性もある。
だが、上記のようにアップル独自5Gモデムは、iPhone SE 4と事実上セットになっている。モデム開発が遅れれば、iPhone SE 4の発売も延期されるということだ。
iPhone SE 4は、「ほぼiPhone 14」ながらUSB-Cポートや48MPカメラ、アクションボタン搭載など一部の仕様が強化される見通しだ。しかし、発売が2026年にまでずれ込めば、魅力は薄れるかもしれない。