子どもの認識の問題etc…

ロボタクシーの問題が表面化。オペレーターの「遠隔支援」必要性も明らかに

Image:Michael Vi/Shutterstock.com

10月2日、サンフランシスコの交差点で横断歩道を渡っていた女性がクルマにはねられて転倒した。そこへ通りかかったCruiseのロボタクシーは、前方に倒れ込んだ女性を下敷きにするようにして一時停止したが、その後女性を引きずりながら約6mも走行して重傷を負わせた。

カリフォルニア州の車両管理局(DMV)は、Cruiseが当初当局に提出していた事故の車載カメラ映像から、女性が引きずられる様子がカットされていたことに関してCruiseを告発し、カリフォルニア州内での自動運転車の運行許可を一時停止した(Cruiseは動画は提示したと主張)。

その後、Cruiseは米国内のその他の地域でも、自動運転車の公道運行を自主的に取りやめている。そして最新の報告によると、Cruiseのロボタクシーにまつわるさらなる問題がいくつか浮上している。

まずひとつは、このロボタクシーの自動運転システムが、子どもの認識に問題を抱えているということだ。公開されていないCruise内部の安全性評価資料によると、クルーズの自動運転車は特別な予防措置を講じるために子どもを効果的に検出できなかった可能性があるとThe Interceptは報じている。

あるシミュレーションでは、車両が子どもに衝突するシナリオを否定できなかった。別の具体的な試験走行では、車両が子供サイズのダミー人形を検知したにもかかわらず、時速28マイルでミラーに衝突したという。つまり、Cruiseの自動運転AIは周囲にある子どもの形をした物体を自動的に検知できたが、それに応じて、安全に走行する方法を心得ていないということだ。

Cruiseの広報担当者はThe Interceptに対し、シミュレーションではロボタクシーが道路脇の子供たちを一時的に見失ってしまうことがあると認めた。この問題は修正されており、公道ではなくテストでのみ確認されたと付け加えたが、問題を解決するためにどのような具体措置を講じたかについては言及していない。

さらに、「路上での観察結果から、子供との潜在的な衝突の危険性は、フリート走行時に3億マイルに1回発生する可能性があると判断し、それ以来改善しているため、路上で子供との衝突事故は発生していない」と述べている。

もうひとつの問題点として、Cruiseのロボタクシーは建設作業などで路上に掘られた穴など、工事現場を検出するのが苦手だとも指摘されている。これはCruiseの親会社GMの社内でも「重大なリスク」とされており、自動運転車が、人が乗った状態で4年に1度はこのような穴に落ちてしまう可能性があるとしている。

実際にThe Interceptが行ったテストの動画でも、Cruiseのテストカーはパイロンで囲まれた工事現場に向かって走行し続けたという。かろうじて直前で急停止できたのは、作業員が「徐行」の標識フロントガラス前で掲げたからだと伝えられている。

そして3つめの問題点は、Cruiseのロボタクシーは自動運転とは謳っているものの、実際のところは4~5マイル(およそ6.4~8km)の走行ごとに、人間のオペレーターによる遠隔からの支援が必要になることを、クルーズのKyle Vogt CEOが認めたということだ。

New York Timesによると、ロボタクシーの遠隔支援要員は1人あたり4~5台のロボタクシーを担当する。走行する進路が工事や何かで迂回するような場合に、立ち往生する前にオペレーターが遠隔で介入し、これを回避するようになっているのだという。この介入はロボタクシーが走行している時間の約2~4%で発生しているが、これは最小限の措置であり、オペレーターは遠隔操作するのではなく、通行路を見つけるための情報を提供しているという。

これらすべてを考慮すると、Cruiseのロボタクシーは本当に公道で走行させても大丈夫かどうか、もう少し検討されるべきかもしれない。

カリフォルニアDMVがCruiseロボタクシーの公道走行許可を一時停止したことを受け、Cruiseはより大きな自動運転車「Origin」の生産をいったん停止したとForbesが伝えている。

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