本来は2025年に配備の予定だが

イスラエル、レーザー兵器「Iron Beam」の配備を急ぐとの噂。実戦投入を騙るデマも

Image:Rafael Advanced Defense Systems

イスラエルが開発中のレーザー兵器「Iron Beam」が、早期に実戦配備される可能性があると報じられた。この兵器は迎撃ミサイルシステム「Iron Dome」では対処できないほど近距離に迫るロケット砲の発射体、迫撃砲の砲弾、無人機などの幅広い脅威を迎撃する能力を持つとされる。

イスラエルは現在、武装組織ハマスと戦闘状態にあるが、その脅威に対処するために、最先端のレーザービーム兵器Iron Beamを実戦に配備する準備を急いでいると、Xのオープンソース防衛情報収集アカウントOSINTdefenderは伝えている(ちなみにOSINTとはOpen Source Intelligenceの略で、公開されている情報からアクセス可能なデータを収集、分析、決定する諜報活動手法)。

Iron Beamの発する高エネルギーレーザーは、1発あたりのコストが数ドル程度とされ、運用におけるコスト面でも大きな利点を持つ。開発元のRafael Advanced Defense Systemsは、長らくレーザー技術の積み上げをおこなってきており、ここ最近の研究の進歩によって、ある程度長距離においても脅威を無力化するに十分なビームが維持できるようになったとされる。

2020年の報告書では、Iron Beamの最大有効射程距離は7kmと伝えられている。また2016年には数十kWだったレーザーの出力レベルは2023年までに100kW以上、最終的には最大300kWにまで引き上げられ、2025年の配備を目標として開発が続けられている。

Interesting Engineeringによると、Iron Beamの陸上バージョンのテストはほぼ完了しており、現在のハマスとの対立・戦闘状況から、イスラエルはスケジュールを早める必要があるとされている。Iron Beamは前述のIron Domeを置き換えるものではなく、相互に補完することを目的としているため、それが導入されたからと言って全体の戦力バランスが大きく変わるわけではないと考えられる。だがもし本当に早期の導入が実現するならば、現場で防衛に携わるオペレーターは従来のミサイルか、よりコスト効率の高いレーザーを使用して脅威を無力化するかを選択できるようになるだろう。

ちなみに、SNS上ではすでにIron Beamが実戦に投入されたとの噂も出ていたようだが、これは誤りであることが指摘されている