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ロッキード・マーティン、レーザー兵器の最高出力を300kWから500kWにパワーアップ中

Image:Lockheed Martin

軍事・航空宇宙システムを手がけるロッキード・マーティンは、米軍向けのレーザー兵器において、最高出力をこれまでの300kWから500kWに引き上げた新製品を開発していることを発表した。

このレーザー兵器は、米国防総省の研究・工学担当国防次官室(Office of the Under Secretary of Defense for Research and Engineering:OUSD)の研究エンジニアリング部門(R&E)との契約に基づいて開発される。

レーザー兵器は光の速度で標的に到達し、到達移動距離補正も必要ない。そのため標的は狙いを定められ、照射されればこれを回避する術がなく、特に遠方から飛来するミサイルなどを迎撃するのに有効とされる。また、1度の照射に必要なコストは1ドル程度とされているため、運用のコストは一般的な砲弾に比べはるかに経済的だ。

米軍は60年前からレーザー兵器の研究開発を続けてきたが、レーザー光を発生させるには非常に大きな電力が必要であり、さらに発生する熱を逃がす冷却装置も非常に大きなものが必要になってしまう。このため、実用的なレベルの出力を備えつつ、軽量でコンパクトなものを作り上げるのに多大な時間を擁してきた。そして、高エネルギーレーザースケーリングイニシアチブ(HELSI)のもと、ようやく300kWクラスの高出力レーザーを照射してドローンなどを撃墜できるものが製造可能になってきたという段階だ。

今回の発表は、HELSIの第2フェーズの一環として行われる開発について述べ、優れたビーム品質を維持し、連続波高エネルギーレーザー源の効率、コンパクトさ、重量、体積を最大化しながら、レーザーの出力を強化することを目的としている。またこの技術は、航空機、地対空ミサイル、空対空ミサイルなど、さまざまな航空脅威に対抗することを想定している。

Image:Lockheed Martin

ロッキード・マーティンのミッションシステムおよび兵器担当VPであるリック・コルダロ氏は、「新しい500kWのレーザーは、300kWシステムの成功と従来のプログラムから得た教訓を取り入れており、さまざまな脅威に対する防御能力をさらに証明することになるだろう」と述べている。

ちなみに米陸軍は2024年までに、運用可能な300kW級レーザー兵器のプロトタイプを最大4基、戦術軍用車両に配備する予定とのことだ。レーザー光線を用いた兵器といえば、昔からSF映画やアニメの世界で頻繁に描かれてきたものではあるが、いざ現実のものになる思うと、これが使われる機会がないことを願うばかりだ。