今やWindows 11にも組み込まれて花形に

マイクロソフト、アップルにBing検索エンジン売却を検討していた

Image:rarrarorro/Shutterstock.com

マイクロソフトの検索エンジンBingは、OpenAIと提携してAIチャットボットが組み込まれたことで、今年初めには1日のアクティブユーザー数が1億人を突破した。そして今後は、Windows 11の中核機能にも位置づけられている。

しかし2020年の時点では、マイクロソフトはBingをアップルに売却することを検討していたとBloombergが報じている。

マイクロソフトの幹部はアップルのサービス責任者であるエディ・キュー氏と会談し、買収の可能性について話し合ったという。しかし、結局のところ探り合いに終わり、進展はなかったとのことだ。アップルが買収に踏み切らなかったのは、Googleから得ている莫大な資金と、Bingが「品質と機能」でGoogleに対抗できないと懸念したからだと伝えられている。

アップルは、iPhone、iPad、Mac用Safariのデフォルト検索エンジンにGoogleを採用している。その見返りとしてGoogleが、年間数十億ドルを支払っていることは数年前から報じられていた

両社の契約は、米司法省がGoogleを反トラスト法違反の疑いで提訴した裁判でも焦点の1つとなっている。司法省はGoogleが検索エンジン市場を独占している証拠として、アップル製品におけるGoogleの優位性を指摘した格好だ。

この裁判でキュー氏は証言することになり、Googleをデフォルト検索エンジンに選んだ理由を尋ねられた。これに対して「当時、Googleに代わる有効な選択肢はなかったのは確かだ」と答え、まだ1つもないと付け加えている。

2022年末、The InformationはアップルがGoogle検索の代わりとなる自社製エンジンを立ち上げるまで「少なくとも4年掛かる」と報道。そのためマイクロソフトのBingと同様の契約を結ぶかもしれないと主張していたことがある。

なお、アップルとマイクロソフトは2013年に契約を結んでおり、Bing検索エンジンがSiriとSpotlight検索に使われていた。しかし、2017年にはそちらもGoogleに変更された経緯がある。逆に、Safariのデフォルト検索エンジンをGoogleからBingに変更する選択肢もあり得たのだろう。

マイクロソフトがOpenAIとの初提携を発表したのは、2019年夏のことだ。それからBingがOpenAIの技術をベースに刷新されるまでに3年以上かかっているが、2020年の時点ではAIを組み込む計画はなかったのかもしれない。

関連キーワード: