注射針を刺す必要がなくなります

Apple Watchの血糖値測定センサー、開発リーダーにAppleシリコン功労者が就任か

Image:Andrey_Popov/Shutterstock.com

長年にわたってアップルが非侵襲性(注射針を刺す必要がない)血糖値測定センサー開発に取り組んでいることは、公然の秘密である。将来のApple Watchに「いつ」搭載されるかに注目が集まっているなか、同社内で人事異動があり、血糖値モニタリング開発チームの新リーダーが任命されたとBloombergが報じている。

同誌の報道によると、プラットフォーム・アーキテクチャ担当副社長のティム・ミレー氏が新たな開発リーダーに就任したとのこと。ミレー氏は現在、非侵襲性血糖値測定を開発してきた部署Exploratory Design Group(XDG)の責任者になったという。

XDGは、アップルが最重要機密として行っている事業だと噂されていた。以前、スティーブ・ジョブズ氏にも信頼が置かれたビル・アサス氏が率いていたが、同氏は2022年末に不慮の死を遂げたそうだ。

新任のミレー氏もアップルに20年近く在籍しており、Appleシリコン(独自設計プロセッサー)開発の責任者であるジョニー・スロウジ氏の直属とのこと。実際ミレー氏はAppleシリコンへの移行において重要な役割を果たし、プロセッサー開発に取り組む複数のチームを率いてきたという。

アップルの血糖値モニタリングは、高度なセンサーとチップが必要なため、健康チームではなく半導体チームが担当しているという。皮膚の下にレーザー光を当てて体内の血糖値を測定するシリコンフォトニクス(発光素子や受光器、光変調器などの素子を集積)チップを開発していると、以前Bloombergが報じていた

この技術が実用化されれば、皮膚を傷つけることなく血糖値を測定でき、糖尿病患者は日常的にたやすく血糖値を測れるようになる。そればかりか、糖尿病予備軍やその他の病気や兆候を検出できる可能性も高くなるだろう。

今年初めには、以前は卓上サイズだった試作機をiPhoneとほぼ同じサイズに収める「概念実証」段階に達したと報じられていたが、Apple Watchに収まる部品(Apple Watchと同サイズではなく)に凝縮するまでの道のりは遠そうだ。

とはいえ、Appleシリコン推進の功労者を新リーダーに置いた人事は、それだけアップルが非侵襲性血糖値モニター開発に本腰を入れたということだろう。日常的に装着しているApple Watchへの搭載は予防医療、ひいては医療費の削減にも繋がるだけに、朗報を待ちたいところだ。

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