サムスンがアップルのVision Proを見て計画を修正したため?

Googleとサムスン共同開発のMRヘッドセット、頓挫の可能性

Image:TierneyMJ/Shutterstock.com

今年6月、GoogleはARメガネ「Project Iris」を開発中止したと報じられていた。それに続き、サムスンと共同開発のMR(複合現実)ヘッドセット発売計画も頓挫しそうだとの観測が伝えられている。

本製品は、今年2月のGalaxy Unpackedイベントや、5月のGoogle I/Oイベントでも漠然とした形だが予告されていたものだ。特に後者では、Googleとサムスンの提携を再確認し、Androidによる没入型MR体験の実現に取り組んでいると明言していた。

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米Business Insiderによると、このプロジェクトの社内コード名は「Project Moohan」。上記の発表がある前、少なくとも昨年から開発が進められていたとのことだ。

しかし、今やProject MoohanはGoogleの「政治的な頭痛の種」となっているという。この提携ではサムスンが「製品機能に関して主導権を握る」可能性が高くなり、Googleの他のハードウェア部門がライバル製品を作るかもしれないとの懸念から、プロジェクトの情報を渡したくないのだという。


GoogleにはMoohanのほか、2つの競合するXRプロジェクトが稼働中だという。Magic Leapの元CTOだったポール・グレコ氏が率いる「Raxiom」と、上記のIrisをソフトウェア・プロジェクトとして他社への売り込みを目指す「Betty」だ。つまり3つのチームが互いに遮断され、限られたリソースを奪い合うことになる。

また韓国SBS Biz報道によると、サムスンはアップルのVision Pro発表を受けて、ヘッドセット生産開始の計画を延期したという。Vision Proの高機能・高性能を見て、計画の修正を余儀なくされたようだ。

しかし、Google社内では、それでも製品をブラッシュアップするには十分な時間がないと考える人もいるという。Insiderは「Vision Proに近づくには十分な余裕がない」という声も紹介している。

今年7月、GoogleでAR/XRデバイス向けのOSおよびソフトウェアプラットフォームを担当していたシニアディレクターのマーク・ルコフスキー氏が退社したことをX(Twitter)上で明らかにした。そのさい、同社にはARにつき「確固たるコミットメントもビジョンもない」と批判していた次第だ。

Insider報道でも、Googleの迷走ぶりにつき社内の証言が伝えられている。すなわち「6ヶ月ごとに、プログラムに大きな転換があった」とのこと。一時期、独自チップ開発に取り組んでいたものの放棄され、普通のメガネからサングラスに替えたり、また戻したり、カラーかモノクロ画面かを決めかねていたという具合だ。

今回の報道で最も興味深いのは、Betty(自動翻訳の字幕表示)に関する噂話だろう。第1世代は単眼式(1つのレンズだけに画像を投影する)かもしれないが、第2世代プロジェクト「Barry」では、両方のレンズを利用する予定だという。そちらの前向きな続報を待ちたいところだ。

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