英国での買収承認に向けて

マイクロソフト、アクティビジョン・ブリザードのストリーミング権をUbisoftに譲渡へ

Image:FellowNeko/Shutterstock.com

米マイクロソフトは8月21日(現地時間)、難航している英国でのActivision Blizzard買収について、英規制当局である競争市場庁(CMA)の承認を得るために、大手ゲームパブリッシャーのUbisoft Entertainment SAと新たな契約を結んだと発表した。

契約の内容は、今後15年間にリリースされるActivision BlizzardのPCおよびコンソールゲームのクラウドストリーミング権をUbisoftに譲渡するというもの。これにより、Ubisoftは自身のゲームアブスクリプションサービスであるUbisoft+でActivision Blizzardのタイトルを配信できるほか、他のサービスプロバイダーやコンソールメーカーにライセンスを供与できるようになる。

Ubisoftは「Ubisoft+ Multi Accessに加入することで、プレイヤーはPC、Xboxコンソール、Amazon Lunaを含む複数のプラットフォームで、またUbisoft+ Classicを通じてPlayStationプラットフォームでお気に入りのUbisoftのゲームをプレイしたり、お気に入りのActivision Blizzardのゲームをストリーミングしたりできるようになる」としている。

マイクロソフトは引き続き、Xbox Game PassなどでActivision Blizzardのゲームタイトルを配信できるが、独占配信を行ったり、他プラットフォームでのActivision Blizzardタイトル配信について、口を出したりはできなくなる。

マイクロソフトが2022年1月に発表したActivision Blizzardの買収については、総額687億ドルという巨額の買収であり、かつマイクロソフトのゲーム市場での支配力が強まることを理由に、各国の規制当局が懸念を表明したり、買収阻止に向けた起訴が起こされたりと、これまで非常に難航していた。しかし、すでにEUが条件付きながら承認したほか、7月には米国でのFTC(米連邦取引委員会)が起こしていた買収差し止めの起訴が棄却されるなど、買収完了に向けて大きく前進していた。

残る大きな市場は英国のみとなっていたのだが、CMAはクラウドゲーム市場の競争を阻害するとの理由で買収を承認しないと発表していた。今回のUbisoftへのクラウドストリーミング権譲渡は、CMAへの最大限の譲歩となる。

この背景には、Activision Blizzard買収の期限が10月18日に迫っていることが挙げられる。当初7月18日が期限だったが、CMAによる取引の調査完了が8月29日になることを受け、3か月の延長が発表されていた。なお、8月29日までに取引が完了しなかった場合、マイクロソフトはActivision Blizzardに対して契約解除手数料として35億ドル、9月15日を過ぎると45億ドルを支払う必要がある。

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