日本でも支払いプログラムは開始しているけれど

Xの収益化プログラム、サブスク加入者増加にはそれほど寄与していないとの報告

X(旧:Twitter)のオーナー、イーロン・マスク氏は、月額制サービスのX Premium(旧:Twitter Blue)加入者を対象として、閲覧数の多い投稿に表示された広告からの収益を分配するAds Revenue Sharing(広告収益分配)プログラムを開始した。

マスク氏は、クリエイターに対して広告収益を分配すると定期的に投稿してきた。しかし、実際にこの収益分配を受け取るには、まず月額8ドルのサブスクリプションサービスであるX Premiumに加入する必要がある。マスク氏は「もしあなたが私たちにお金を払ってくれれば、私たちもあなたに支払いを始めるかもしれない」とX Premiumおよびクリエイター収益化プログラムへの参加をユーザーに呼びかけている。

X Premium(Twitter Blue)の登録者数を追跡集計してきた独立の研究者トラヴィス・ブラウン氏によると、7月1日から8月10日までにX Premiumに登録した正味のユーザー数は約9万4000人だった。これは1週間あたり約1万6000人のペースであり、従来の数千から最大1万5000人という新規加入者数をわずかに上回った程度だ。つまり、マスク氏の呼びかけに乗り、収益分配を受けようと思ってX Premiumに登録したユーザーは、これまでのところそれほど多くはないと言うことができる。

マスク氏は、既存の無料ユーザーのエクスペリエンスを悪化させて有料プランへの移行を促す方法をよく使っている。たとえば、Twitterが審査を経て与えていた青い認証バッジを、Twitter Blueで実質的に販売する格好にしたときは、その開始から7日間で5万3400人のユーザーが新規にTwitter Blueに加入したとされる。しかし、それまでにいた従来の認証ユーザーの数に比較すると、この数字は多いとは言えなかった。先月マスク氏は、Xの総「月間」ユーザー数は5億4000万人以上だと主張している。

トラヴィス・ブラウン氏の集計によるX Premium登録者数は、少なくとも82万7615人だという。ブラウン氏は、この集計手法は公式のXチャンネルを使用したものであり、全体の90%程度をカバーしていると述べているが、現実の数が合計で95万人を超えているようなら「驚くだろう」とテクノロジーニュースサイトのMashableに述べている

クリエイターに対する広告収益分配プログラムでは、その支払いを受けるには500人以上のフォロワーを持ち、過去3か月間で少なくとも1500万回の投稿閲覧数を弾き出す必要があるとされた。ただし投稿閲覧数については、その後8月11日になって500万回に基準が引き下げられた。また支払いを受けるために必要な支払額も、月50ドルから10ドルに引き下げられている。現時点では、これらの変更がX Premiumの購読数を増やす方向に作用したかどうかはわかっていない。

Mashableは、X Premium登録者のうち、37%以上はフォロワー数が500人に満たず、クリエイターとして支払いを受ける資格を持たないとしている。また500万回の投稿閲覧数要件をクリアできるユーザーの数もかなり厳しい数字だと推測される。この500万回の閲覧数にカウントされるのは、他のX Premium登録者からの閲覧であり、無料ユーザーによる閲覧はカウントされない。プラットフォーム全体のX Premium登録者は、先のブラウン氏の集計を信じるなら100万人もいないはずだ。

ちなみに、日本でもすでに広告収益分配プログラムは開始しており、Xを見回してみれば「以外と多く貰えた」との報告も散見される。 X Premiunユーザーどうしでどんどん相互フォローし合い、とにかく大量に投稿してその中にいくつか閲覧が伸びるものがあれば、インプレッション総数は伸ばせるかもしれない。

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