iPhone 15 Pro Maxのみ品薄に?
iPhone 15用ディスプレイ、量産開始の情報。ペリスコープ望遠レンズは生産難航?
今年も例年通りのスケジュールだとすれば、次期「iPhone 15」シリーズの発売は9月か10月となるはず。あと1~2か月と近づくなか、アップルが有機ELパネル製造大手のサムスンディスプレイ(以下、サムスン)に承認を与え、iPhone 15用ディスプレイの量産が開始されたと報じられている。
韓国の電子産業誌The Elecは、サムスンは下半期発売予定のiPhone 15シリーズ4種類の有機ELについて、すべて量産承認を受けて出荷中だという。
かたやLGディスプレイ(以下、LG)はiPhone 15 Proモデル2機種を担当し、アップルから条件付き承認を得たとのこと。これは7月中旬、LG製ディスプレイの製造過程に問題が生じるとの報道の続きである。もっともディスプレイ関連サプライチェーン専門調査会社DSCCが、問題は解決したとのレポートを発表しており、iPhone 15 Proが発売直後に極度の品薄になる恐れは遠のいていた。
そして、第3の有機ELサプライヤーである中国BOEは標準モデルを受注しているものの、年内の納品は難しいという見通しが優勢だという。7月初めにもBOEは、iPhone 15用の有機ELパネル製造で品質問題に悩まされており、初期の納品量は「ゼロ」に留まる可能性があると報じられていた。こちらもサムスンとLGがすべての受注を引き受けるとみられ、特に問題はなさそうだ。
今回の報道も「iPhone 15初期生産分にBOE貢献せず」の再確認ではある。だが、BOEがサムスンの特許を侵害することなくディスプレイを製造することに苦戦しており、一部の特許を無効とするよう求めているというのが興味深い。
その一方、iPhone 15 Pro Max用の「折りたたみズーム」と「折りたたみズーム用アクチュエーター」の生産歩留まりが予想を下回っているとのこと。これらは、高光学倍率ズームを実現するペリスコープ望遠レンズを意味するのだろう。ペリスコープ方式は、レンズやミラーで光の向きを90度変え、本体に対して横方向にレンズを複数置くことで、従来のレンズとセンサーを縦に積み重ねるものを “折りたたむ” ものだからだ。
これらの情報から予想されるのは、iPhone 15標準モデルと小さな方のProモデルは生産が順調。ただし、iPhone 15 Pro Maxはペリスコープ望遠レンズ製造がボトルネックとなり、発売直後は品薄になり得るということだろう。
iPhone 15 Pro Maxの光学倍率は5~6倍の可変ズーム機構だと噂されている。すでにソニーのXperia 1 IIIにも採用された技術だが、iPhoneとしては一大進化には違いない。人気機種となりそうなだけに、今後の続報が待たれるところだ。