マウスのパッケージに「熱湯6分」と記されるようになる?
「水に溶けるプリント基板」が実用化へ。CO2排出60%減をうたう
ドイツの半導体メーカー、インフィニオン・テクノロジーズは、水に溶けるプリント基板を製造すると発表した。基板の素材には、英国のスタートアップJiva Materialsが供給する植物ベースの「Soluboard」を使用している。
Soluboardは天然の繊維とハロゲンフリーのポリマー材料からなり、ガラス織布にエポキシ樹脂を滲みこませた従来のFR-4 GFRP(ガラス繊維強化樹脂)に比べて、「CO2排出量が60%削減できる」「PCB1平方メートルあたり炭素10.5 kg、プラスチック620gを節約できる」とJivaは説明している。
ワシントン大学工学部およびMicrosoft Reserchによる2022年の研究では、Soluboardを使用した環境に優しいマウスを作り、それが水中でどのように溶解するかを調べている。そして実験では、Soluboardが熱湯中で6分未満で溶解することが確認できたとしている。
なお、常温の水に浸すだけの場合、溶解するにはおそらく数時間以上の時間がかかると考えられ、水を沸騰させるためにCO2排出が増えてしまう点は留意すべき所かもしれない。ただ、プリント基板が簡単に溶解できるとなれば、その水をろ過するだけで基板に取り付けられていたチップや貴金属類の回収が可能できるため、大きく手間が省ける利点もある。
インフィニオンは現在、デモまたは評価用としてSoluboardを使った3種類の基板を試作製造している。そして、今後数年間かけてこの素材の採用を拡大し、最終的にはすべてのプリント基板に使用することを検討中だ。また、溶解した後のチップ及び貴金属類の回収・リサイクル方法についてまとめたガイダンスを作る予定とのことだ。
- Source: Infineon Technologies
- via: Engadget
- Coverage: Jiva Materials