大画面でも内部空間を確保、本体そのままの狙い?

アップル、“完全ベゼルレス”iPhoneに向けて動き。LGなどにパネル開発要請との報道

Image:RYO Alexandre/Shutterstock.com

次期「iPhone 15」シリーズのうち高価なProモデルは、ディスプレイ周りのベゼル(額縁)が極薄になるとの噂は何度も伝えられ、それを裏付けるフロントガラスの写真も流出。さらには有機ELパネルを供給するLGディスプレイが、製造に苦戦しているとの報道もあった

それに続き、アップルはサムスンディスプレイとLGに「前面ベゼルをすべてなくした」有機ELパネル開発を要請したと韓国の業界誌The Elecが報じている。

画面の縁が目立たない「ベゼルレス」は、すでにAndroidスマートフォンでも珍しくはない。しかしアップルが特別に開発を要請している理由は、他社のようにエッジが湾曲しているもの(カーブドディスプレイ)ではなく、現行iPhoneの「フラットなディスプレイと側面が角張ったデザイン」の維持を望んでいるためだという。

なぜ湾曲ディスプレイを避けるかといえば、光学的に画面が歪んで見えるほか、外部からの衝撃に弱い可能性があるから、とのことだ。アップルが技術的にハードルの高い、ベゼルレス+フラット画面を望むのは、干渉を減らしながらアンテナなどの部品スペースを増やす狙いだという。それと共に、薄膜封止(TFE)やアンダーパネルカメラ(UPC/画面下カメラ)技術を改善していく、長期的な目標もあるようだ。

TFEはスマートフォン内のスペースを増やせる一方で、有機ELを水分や酸素から保護することが難しくなる。かたやUPCは「一部でディスプレイ表示しつつ、残りの部分で外部からの光を通す」ために画素密度が低くなり、他の部分との境界が目立ちやすい。いずれも、短期的には解決しがたい課題だろう。

これらが実現するのはかなり先のことになりそうだが、アップルはその前段階として「iPhone前面ベゼルの最小化」に取り組んでいるという。LGディスプレイがiPhone 15 Proの極薄ベゼル向けパネル製造に苦戦しているのも、将来の後継モデルで完全ベゼルレス化を見据えてのこと、というわけだ。

2024年の「iPhone 16 Pro」モデルは画面サイズが大きくなるとの噂があったが、それとベゼルレス化の動きを合わせて考えれば「本体サイズを抑えつつ表示領域を拡大、内部パーツのスペースも確保」という一石二鳥を狙ってのことかもしれない。

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