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Twitter、解雇した従業員数千人との仲裁費用を支払い拒否。訴訟を起こされる

Image:kovop / Shutterstock

7月3日、Twitterはイーロン・マスク氏によって解雇された従業員数百人から集団訴訟を起こされた。理由は、従業員個別に行うとしていた解雇に関する仲裁申立ての費用負担を、Twitterが拒否したためだ。

Twitterを解雇された従業員らは当初、解雇前に十分な通知を受けなかったことと、契約上の規定にある退職金や手当を支給しなかったとしてイーロン・マスク氏を訴えようとした。これはそのまま集団訴訟に発展すると思われたものの、雇用の契約における条項によって、解雇された従業員らは集団訴訟を断念せざるを得ず、一人ひとりが個別にTwitterに対して仲裁申立てを行わなければならなくなった。

この契約では、Twitterは調停・仲裁サービス企業のJAMSを使うことを指定しており、JAMSは個別の調停においては仲裁費用のうち一部を手数料として従業員側が負担し、残りを解雇した側、つまりTwitterに請求する事を規定している。

ところがその規定どおりに事を進めた場合、マスク氏率いるTwitterは、解雇した約2000人の従業員に対しておよそ数百万ドルの手数料を支払う必要に直面することになる。そして6月初旬になって、TwitterはJAMSに対し、仲裁費用を当事者間で均等負担にするよう要求した。

これはJAMSが規定する手続きの公平性の基準から外れる要求であり、JAMSは基準を満たさない仲裁は行えないとした。その結果、TwitterはJAMSに対し「891件の拒否リスト」を添付した書簡で「カリフォルニア州以外のほとんどの州における仲裁を拒否する」と伝えた。

仲裁手数料の支払いを回避しようとするTwitterの動きによって、こんどは数百人の従業員が泣き寝入りせざるを得ない状況に陥ることになった。ただ、Twitterがこのまま手数料負担から逃げ切ろうとしているのか、別の何らかの支払いのために引き延ばし工作をしているだけなのかはわからない。JAMSは、仲裁停止の目的は企業を見放すことではなく、元従業員が「管轄裁判所で適切な救済を求められる」ように忠告することだと述べている。

イーロン・マスク体制下でのTwitterは、内部コミュニケーションサービスからクラウドサービス、実際のオフィススペースまで、さまざまな支払いを拒否し、義務から逃れる試みを繰り返している。

Twitterはサービス内容にも続々と手を加えており、最近ではユーザーが1日に閲覧できるツイート数にも制限をかけ、無料で提供してきたTweetDeckもペイウォールの向こうへ移した。突然ツイートが表示できなくなったユーザーは、Twitterに代わるSNSを探し始めている。

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