Proモデルほど性能は要らないが大画面は欲しい企業ユーザー向け

アップル幹部、15インチMacBook Airは「インテルチップでは無理」

Image:Apple

アップルが先月発売した15インチMacBook Airは、入手したユーザーからはおおむね好評を博している。13インチモデルよりも25%広いディスプレイを搭載し、14インチMacBook Proよりも軽く、何より安い。これまでMacBookユーザーが求めつつも得られなかったニーズを埋める製品だろう。

今までなかったのが不思議な製品だが、インテルMac時代には構想しつつも実現できなかったとアップル幹部が語っている。

アップルのMacプロダクトマーケティング担当のローラ・メッツ氏とエンタープライズ製品マーケティング担当トーマス・タン氏は、海外メディアInc.の取材に対し、15インチMacBook Airの開発が「顧客が本当に欲しい製品を作る」ことだとの趣旨を語っている。

メッツ氏によると、アップルは以前から15インチのMacBook Airを作りたかったという。しかし「以前の設計のもとでは、上手く行かなかった。とてもAirと呼べるものではなかった」とのこと。

それがAppleシリコン(独自開発チップ)の出現により、状況は変わった。「より大きなディスプレイと、ユーザーがMacBook Airに期待するバッテリー持続時間と性能を実現するために適切な部品をすべて揃えられたのは、Appleシリコンのおかげだ」というのだ。

このインタビューでは「インテル」という言葉は1つも出てこない。とはいえ、Appleシリコンを称賛しつつ「それ以前」の設はAirの条件を満たせなかったというのであれば、言わんとするところは明白だろう。

実際、初めてAppleシリコンに切り替えたMacBook Air(2020)の性能やバッテリー持ちの良さは衝撃的だった。最後のインテル版MacBook Air(2019)とバッテリー容量は同じ49.9Whながらも、公称ではワイヤレスインターネット閲覧が最大12時間から15時間へとアップ。いちユーザーの体感としては、それ以上の改善だった印象がある。

またメッツ氏は「14/16インチMacBook Proほどの追加機能や性能を必要とせず、より大きな画面を求めるユーザーがいると知っていた」という。さらにエンタープライズ(企業)市場では「ユーザーは大画面に興味を抱いている」とのこと。

つまりビジネスや企業ユーザーはより広い画面を欲していたが、高価で余分な機能が搭載されたProは要らない。15インチMacBook Airは、その穴をようやく埋められたというわけだ。

さらにタン氏は「Appleシリコンは、MacBook Airを突然、ビジネスユースに使えるものにした」という。そこに挙げられた顧客の例は小売業や製造業、医療関係者など、14/16インチMacBook Proのグラフィック処理能力のニーズがあるクリエイティブ方面とはかけ離れたものだ。

その一方で、PC市場が低迷しているなかで、特にMacBookの落ち込みが激しいとの報道もあった。今後は大画面と必要十分のパフォーマンスを備えつつ、価格を抑えた15インチMacBook Airでビジネス市場を開拓していくのかもしれない。

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