「PS6の独自機能を活かすインセンティブはない」との見解

ソニー、マイクロソフトがアクティビジョン買収すれば「PS6」情報を提供せず

Image:Miguel Lagoa/Shutterstock.com

PlayStation事業のトップであるジム・ライアン氏が、マイクロソフトのアクティビジョン・ブリザード買収が成立した場合、アクティビジョン側に次期ゲームハード「PlayStation 6(仮)」の情報は提供しないと宣言していたことが明らかとなった。

マイクロソフトがゲームパブリッシャー大手のアクティビジョンを687億ドルで買収する計画は、ゲーム市場の競争を阻害するとの疑いから、各国の規制当局により審査を受けている。英競争市場庁が阻止すると発表したものの、EUは条件つきながら承認するなど、対応は様々である。

そうした判断が下される上で大きなウェイトを占めているのが、競合するソニーの反対意見である。マイクロソフトは超人気IP「Call of Duty」シリーズを「現行契約の3年後までPlayStationに提供」と申し出たが、ソニーは拒否。マイクロソフトは任天堂ハード等にCoDの10年提供を約束し、外堀を埋めているといったところだ。

そのやり取りのなか、焦点の1つが次世代ゲームハードだ。ソニーはPS6がCoDシリーズをはじめ人気のアクティビジョン製タイトルを欠く恐れがあると主張していたことがある。

さてCoD情報メディアCharlieIntelは、ジム・ライアン氏が4月に行った宣誓証言を伝えている。そこで同氏は、買収後にアクティビジョンがPlayStation向けゲームを発売し続けるとしても、同社がゲーム機の独自機能を活用するインセンティブが低くなるため、「開発中のゲーム機」の情報を彼らと共有することはないと述べている。

さらにライアン氏は、買収後のアクティビジョンは自社の事業より、Xbox事業全体を最優先するとの見解も付け加えている。アクティビジョンの利益となるCoDシリーズの売上が下がっても、Xbox陣営が有利になるように動く、ということだろう。

ちょうど4月、ソニーは英規制当局に対してマイクロソフトがCoDにつき「わざとPlayStation版の体験を劣化させることで、Xboxに利益をもたらす」と申し立てをしていた。それから数か月が経過しているとはいえ、ソニー側がアクティビジョン買収に対するスタンスを変えたとは考えにくい。

もしも将来CoDシリーズのPS6版が出なかったとしても、それはマイクロソフトやアクティビジョンの意図ではなく、ソニーによる可能性が高そうだ。もっとも米国ではFTC(米連邦取引委員会)が買収差し止め訴訟を起こしており、状況は依然として不透明。ライアン氏らも、それを織り込んだ上で発言しているのかもしれない。

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