やはりマイクロOLED画面と12個のカメラもコスト高
アップル初ヘッドセット、なぜ40万円超の噂? “最も高価な部品”をアナリスト分析
アップルが長年かけて開発中と噂のAR/VRヘッドセットは、最新技術を詰め込んだリッチな仕様のため、価格は3000~4000ドル(約40万円~54万円)に上ると予想されている。では、一体どの部品がコスト高となっているのか? 有名アナリストが上位5つのコンポーネントを数え上げている。
アップルのサプライチェーン情報に詳しいアナリストMing-Chi Kuo氏はブログ記事で、このヘッドセットが6月の世界開発者会議WWDCで発表される可能性が高く、同社が「十分な準備を整えている」と主張している。
少し前、Kuo氏はヘッドセットの量産スケジュールが延期されたため、WWDCでの発表も危ぶまれると述べていた。なぜ見解を修正したのか理由は示されていないが、最近The Wall Street Journalが「WWDCでの発表は予定通り行われるが、量産する上で問題が起こるかもしれない」と報じており、ひとまず発表は決行する方向に固まりつつあるようだ。
Kuo氏はアップル製ヘッドセットの発表が予想以上に好評であれば、サプライチェーンの株価にとって「良い兆候」になると述べている。前に同氏は2023年内の出荷台数が20万台~30万台に留まると予想したことがあり、売上的には今ひとつのはずだが、少なくとも今後の期待値は上がるということだろう。
さてKuo氏は、組立を除けば「最も高価な材料費」となる5つの部品をメーカー名とともに挙げている。それは4KマイクロOLEDディスプレイ(ソニーが独占)、デュアルプロセッサー(TSMC独占)、筐体(Everwin Precisionが主要サプライヤー)、目や手の動きを追跡する12個のカメラモジュール(Cowellが独占)、外部電源(Goretekが独占)だという。
この中では収益規模が最も小さなCowellが、ヘッドセット発売により最大の受益者になるとのこと。逆にいえばソニーやTSMCといった大手企業には、当面はうま味が小さそうだ。
アップルの秘密主義のためか、今のところ社外の人間がヘッドセットを試用できたとの報告はほとんどない。おそらく社内で本製品を何度も被ったらしき関係者が、最新のハードウェアやソフトウェアによる体験は「圧倒的だった」と語ったという伝聞はあった。特に「最新の」というあたり、根気強くバージョンアップを重ねたことがうかがえる。
またOculus Rift創業者のパルマー・ラッキー氏は「アップルのヘッドセットはとても良い」とツイートしている。実際に同氏が試作機を被ったのか、体験できたのかは不明だが、半生をVRに注力してきた人物だけに言葉の重みがある。
AR/VRヘッドセットの相場として、40~50万円以上はとてつもなく高価にも思える。だが、アップルが長年の歳月をかけて(上記WSJ報道によれば7年)「圧倒的」なARやVRの未来を実現したとすれば、安すぎると感じる人も少なからずいるのかもしれない。