新CEOにはどれほどの権限が与えられるのか

Twitter、マスク氏の後任CEOがまもなく就任か。米NBCU広告部門トップと「交渉中」

Image:kovop/Shutterstock.com

Twitterのオーナー兼CEOのイーロン・マスク氏は現地時間12日、後任のCEOを決めたことをツイートで発表した。新CEOは約6週間以内に職務を始める予定であり、マスク氏自らは会長兼CTO(最高技術責任者)に移行して製品、ソフトウェア、システム担当者を監督すると述べている。

マスク氏は後任CEOが誰かを明らかにしていないが、その後The Wall Street JournalはNBCユニバーサル(NBCU)の広告部門トップであるリンダ・ヤッカリーノ氏が就任に向けて「交渉中」だと報じている。ヤッカリーノ氏はNBCUに10年以上にわたり勤務し、広告付き配信サービス「ピーコック」の立ち上げに大きく貢献した人物だ。

いずれマスク氏がCEOを退いて後任に託すことは、昨年末の「投票」から現実味を増していた。本人が突然「Twitterのヘッドをやめるべきか?投票結果に従う」として投票を募ったところ、ユーザーからの回答は「Yes(やめるべき)」が57.5%に上ることに。

この結果を受けてマスク氏は「私はこの職務を引き受けるほど愚かな人を見つけ次第、CEOを辞任するつもりだ」「その後、私はソフトウエアとサーバーのチームを運営するだけだ」と述べていた経緯がある。

TwitterとNBCUは数日前、2024年のパリ・オリンピック中継に関して提携拡大を発表したばかりだ。またヤッカリーノ氏はマスク氏に対して「TwitterはPeriscopeを復活させるべき」とツイートしていたこともある。

広告業界に精通した大物を抜てきするのは、マスク氏が買収した後にTwitterの広告収入が思わしくないとみられていることからも、自然な展開である。有料プラン「Blue」リニューアル直後になりすましアカウントが横行したことや、トランプ元大統領ほか凍結アカウントを次々と解除したことから、上位100社のうち半数が広告掲載を中止したとの調査結果や、実際に広告収入が減ったとの報道もあった。

マスク氏がTwitterのCEO職を明け渡すのか怪しむ声もあったが、続けたくともそうはいかない事情もあったようだ。昨年11月、テスラのCEOとしての報酬につき法廷で証言した際、マスク氏は「Twitterにいる時間を減らし、時間をかけてTwitterを運営する後任を見つけようと考えている」と述べていた。すでにテスラやSpaceXのCEOを兼ねている以上、Twitterに割ける時間にも限界がある。

新生Blueも初期登録者の半数以上が離脱したとの報道もあり、いまだにTwitterの主な収益源が広告費であることに変わりはない。後任のCEOもそのテコ入れに注力することは必至だが、マスク氏が「監督」する状況が続くなか、オーナーの急な方針転換に振り回されないかに注目が集まりそうだ。

関連キーワード: