アップルがTwitter Blueリニューアルに難色の可能性も

アップルのTwitter広告費、マスク氏の買収後に実際に減っていた

Image:DVKi/Shutterstock.com

イーロン・マスク氏は、アップルがTwitterに広告を出すことを「ほぼ止めた」と主張していた。では、これまで同社はTwitterにどれほど広告費を費やし、最近はどれほど減らしているのか? その詳細な数字が伝えられている。

米Washington Postが見た内部文書(Twitter社内のデータに基づくという)によると、アップルは2022年の第1四半期(1月~3月)において、Twitterにとって最大の広告主のひとつだったという。この間に費やされた4,800万ドルもの広告費は、同社の総収入の4%を占めているとのことだ。

そしてアップルが「ほぼ止めた」といわれる広告費の支出につき、米Reutersは広告測定企業Pathmaticsの調査データに基づき、マスク氏がTwitter社を購入する前後の数字を比べている。直近の11月10日~16日には推定13万1,600ドルで、買収が完了する直前の10月16日~22日の22万800ドルから減っているとのことだ。

もっとも、上記の2022年1月~3月に費やされた4,800万ドル、週平均にして400万ドルという数字からは、どちらも大きく落ち込んでいることになる。マスク氏がTwitter社の筆頭株主となったのは今年4月のことであり、その頃からアップルは同社から距離を置くようになった可能性もありそうだ。

アップルはマスク氏の主張に何のコメントもしておらず、マスク氏も自らの主張を裏付けるデータを一切示していない。

またマスク氏は、アップルから「TwitterをApp Storeから削除すると脅されたが、その理由は教えてくれない」ともツイートしていた。そこから最近のコンテンツモデレーション(投稿管理)欠如や、トランプ元米大統領のアカウント凍結を「投票」により解除するなど、マスク氏の下での新方針とApp Store審査チームとのあつれきが推測されていた。

しかし米9to5Macは、マスク氏がTwitter社のオーナー兼CEOになってから、iOS版Twitterアプリは5回も承認されていると指摘している。11月5日の最新アップデートまで、実質的には承認バッジの有料販売により、なりすましの急増など混乱を招いた有料プラン「Twitter Blue」(記事執筆時点では新規受付を停止中)の変更を含めてのことだ。

そしてマスク氏が予告したTwitter Blueの再開は、11月29日に迫っている。だが、独自の情報源を持つニュースメディアThe Informaitonは、それにはiOS版アプリの更新につきアップルの承認が必要であり、結局はBlueの再開そのものが延期されたと報じている。

これらの情報を総合的に考えると、iOS版TwitterアプリはApp Storeからの削除まではいかなくとも、少なくともBlueのリニューアルについてはアップルに拒否されている可能性もうかがえる。

マスク氏は、Blueによるユーザーからの収入を今後の経営の柱の1つと捉えており、その上でアップルやGoogleのアプリストア手数料を「秘密の30%の税金」だと述べていた。だが、「税金」をかけられる以前に有料プランの出鼻をくじかれかねず、アップルとの摩擦がさらに激化することになるのかもしれない。

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