マスク氏は「打ち上げは成功」と説明

SpaceXの大型ロケットStarship、自爆コマンドに約40秒応答しなかったことが判明

Image:SpaceX/YouTube

4月20日に行われたSpaceXの大型ロケットStarshipの打ち上げは、最高高度39kmまで上昇したものの制御不能になり、上空で指令破壊という結果に終わった。しかし、この指令破壊が、地上からのコマンド送信後約40秒間も機能しなかったことが、SpaceXの調査報告で明らかにされた。

この報告は打ち上げから1週間後、4月27日に行われたTwitterの音声チャットで行われた。説明の要点だけをざっくりと説明すると、Starshipは離陸してしばらくののち、ロケット1段目のSuper Heavyブースターを切り離す手順になっていた。しかし切り離しの段階に至る前に、Super Heavyの33基のエンジンのうち4基が過熱状態になり、一部のエンジンでは熱シールドが損傷し、小規模な火災状態も発生したとのこと。

これによってブースターの熱はロケットを制御するシステムにもおよび、推力偏向制御が機能しなくなったStarshipは、上空でダッチロールをするかのような状況に陥った。この段階で、ロケットの飛行中断システム(FTS)が起動された。

FTSを起動すれば、通常なら即座にロケットは破壊されるはずだった。しかし今回のStarshipでは、全体の制御システムがすでに不安定だったためなのか、FTSの起動から爆発までに約40秒もの遅延があったという。この遅延時間は、機体がすでに陸地から遠く離れた位置にあったため、安全の面ではそれほど大きな問題ではなかった。とはいえ、すぐに起動すべきシステムにとって40秒のタイムラグは、許容されるべきものではないだろう。

マスク氏はこの問題に関して「より長い破壊用コード」を使うことで解決できると説明し、推進剤の詰まったタンクを(ジッパーを開くように)素早く、大きく破るようにすると述べた。ただし米連邦航空局(FAA)との間で、この問題に関する対策の承認には、時間がかかるかもしれないとしている。

この打ち上げでは、ロケットの指令破壊以外にも様々な問題が浮き彫りになった。指令爆破後ロケットの残骸の一部はテキサス州ボカチカにあるSpaceXの施設や、ボカチカ州立公園の敷地内に落下し、後者では火災も引き起こしている。またロケットの発射台からのものと思われる灰やコンクリート片のような粒子状の物質が、近隣の街に降り積もったことが報道されている。FAAはすでに本件の調査を開始しており「事故に関連するシステムやプロセス、手順が公共の安全に影響を及ぼさないと判断できる」までは、次のStarship打ち上げを許可しないはずだ。

しかし、マスク氏は「我々の認識する限りでは、環境に重大な損害はなかった」と述べている。ただし、Super Heavyの強力な推進力によって掘り起こされた巨大な穴を含む、発射台の基部の破損・損壊については、より大きな鋼鉄プレートを敷くつもりだとし、さらにロケットの燃焼による熱を散らすための大量の水による冷却システムも準備するとした。また今回の打ち上げについては「結果はおおむね期待していたとおりだったが、それをわずかながら上回ったかもしれない」とし、ロケットが「発射台パッドへの損傷を最小限に抑えて離陸した」とのことだ。

マスク氏は、今後6~8週間で次のStarship打ち上げの準備が整うだろうと語っている。しかし、上記のFAAとのFTSに関する作業が終了して打ち上げ許可が下りるには、さらに追加の日数が必要になるだろう。

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