Starshipでなく、発射台の破片も周辺に

SpaceX Starshipの打上げで州立公園に多数の破片が落下。1.4ヘクタール焼く火災も

Image:SpaceX

4月20日に初の軌道試験飛行に挑んだものの制御不能に陥り指令爆破されたSpaceXの大型ロケットStarshipだが、その破片はボカ・チカ州立公園の土地にも落下しており、さらに一部で火災まで引きおこした可能性があると伝えられている。

合衆国魚類野生生物局(United States Fish and Wildlife Service / 略称 FWS)は、Starship発射台からほど近い、絶滅危惧種指定された鳥類を含む、野生動物の生息地である国立野生生物保護区域においては、動物の死骸は見つかっていないとしている。とはいえ、多数の大きなコンクリート塊、ステンレス鋼板、その他金属、それ以外の雑多な物体が数千フィートも飛散して州立公園を含む約156ha(ヘクタール)の範囲に叩きつけられたと述べ、さらに粉砕され噴煙状になったコンクリート片がその元の姿だった発射パッドの場所から最大6.5マイル(約10km)も離れた場所に降り積もったと報告している。また公園内の約1.4haを焼いたとのこと(※打ち上げの影響とは断定せず)。FWSは絶滅危惧種法への準拠を確認しつつ、環境評価と打ち上げ後の推奨事項について連邦航空局と協力しているとのことだ。

周辺地域の住民の一部はStarship打ち上げの前にSpaceXと地元当局に対して非難する声明を出していた。そこでは「イーロン・マスクとその共犯者であるキャメロン郡委員会、テキサス州陸上総局が、マスクのペットプロジェクトであるSpaceXのためにボカ・チカビーチを閉鎖するたび、彼らは我々の先住民の生活様式を破壊する」と述べられていた。

周辺地域に降り積もった細かなコンクリート片は、ロケットエンジンの途轍もない出力によって粉々になった発射パッドのものだった可能性が指摘されている。マスク氏は21日、エンジンの推進力がコンクリートを削ったのでなく、粉々にしたかもしれない」とツイートしていた。SpaceXは発射台の損傷についてはコメントしていない。

以前の記事でもお伝えしたとおり、Starshipの打ち上げ施設には、離陸時の炎を逃がすコンクリート製の溝がない。マスク氏はその代わりに、3か月前から「打ち上げマウントの下に敷く巨大な水冷式の鉄板」を接地し始めたものの「準備が間に合わず、発射パッドのコンクリートが1回の打ち上げぐらいなら乗り切れるだろうと誤って考えていた」と22日、ツイートしている。

米連邦航空局(Federal Aviation Administration / FAA)はStarshipの打ち上げ~指令爆破後、事故調査を行うことを明らかにしており、事故に関連するシステムやプロセス、または実行手順が公共の安全に影響を与えないと判断できるまではStarshipの打ち上げを許可しないとした。

調査には「Anomaly Response Plan(異常対応計画)」も含まれている。これにより、SpaceXは影響を受ける野生動物生息地に落下した瓦礫を取り除き、野生生物と植生の調査を実施し、複数の連邦機関に報告をしなければならない。また、この報告に問題がないことが確認されたとしても、発射台の修復作業や必要な強化を施すため、次の打ち上げには多少の時間を擁することになるかもしれない。

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