Stadiaの夢をソニーが受け継ぐ?

ソニー、クラウドゲーム強化の兆し。関連特許も数十件取得

Image:DANIEL CONSTANTE/Shutterstock.com

先週ソニーが新たな「携帯型PlayStation」を開発中との噂が報じられたばかりだが、その一方で再びクラウドゲームにも真剣に取り組んでいると思しき手がかりが複数見つかった。

ソニーは現在クラウドゲーム技術に関連する22の職種を募集しており、その中には「PlayStationにおけるクラウドゲームストリーミングの戦略的ビジョンの策定と実現」にあたる人材も含まれて “いた” ほどだ。なお、これらの一部は現在では削除されているために過去形としている。

また、ソニー・インタラクティブエンタテインメント(SIE)のFTG(未来技術グループ)に関する募集もあり、そこでは「クラウドゲーム革命をリードする機会を得ることができる。FTGは、コンソール(据え置きゲーム機)品質のビデオゲームをあらゆるデバイスで楽しめるようにできる最前線にいる」との記述も確認されている。

さらに求人情報では、同社のクラウドゲームが、KubernetesとAmazonのAWSによるハイブリッドシステムを使う可能性も示唆されている。

ソニーは2019年、マイクロソフトと戦略的提携を締結したと発表した。ゲームとコンテンツストリーミングに対応したクラウドソリューションをMicrosoft Azureで構築することを計画していると述べていたが、続報はなかった。ソニーはマイクロソフトのアクティビジョン・ブリザード買収計画に公然と反対しており、もはやゲーム方面で協力できる関係にはないのかもしれない。

The Vergeは、ソニーがクラウドに特化した部門で、PlayStationの他部署よりも多くの人材を募集していると指摘している。つまり本気で注力していると示すとともに、まだプロジェクトは人集めで初期の段階にあり、実際に何らかの製品を投入するには至っていない可能性が高いようだ。

その一方で、同社はクラウドゲーミング関連の特許取得を積極的に進めているという。PS4とPS5の開発を率いたマーク・サーニー氏も2022年と2023年の特許出願に名前を連ねており、他に何十件も特許を申請しているそうだ。

このニュースは、新たな携帯型PlayStationがクラウドゲームに対応していない、との噂話とは相反するようにも思える。だが、ゲーム専用機の開発には巨額の投資と歳月を要する上に、新型コロナ禍の元ではサプライチェーンの停滞によりPS5本体の供給が高い需要に追いつかず、ソニーにとっても苦い体験だったはず。そんななか、ハードウェアから切り離されたクラウドゲームの可能性も模索しているのかもしれない。

Google Stadia亡き後も、ハイテク各社はクラウドゲーミング事業を諦めてはいない。NVIDIAのGeForce Nowも進化を続けており、マイクロソフトもXbox Game Passを通じて大量のゲームを投入し続けている。だが、Stadiaが思い描いていたクラウドネイティブ(クラウドでしかできない)ゲームは未だに登場していない。

かつてStadia Games and Entertainmenを率いたジェイド・レイモンド氏は、その後ゲーム開発スタジオHaven Entertainment Studiosを立ち上げ、今やソニー傘下にいる。Googleのもとで破れたクラウドネイティブ・ゲームの夢を、いつの日かソニーが実現すると期待したいところだ。

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