アップルとSpotifyは犬猿の仲
Spotify Hi-fi、「ある時点で登場」と予告。Apple Musicにより計画に狂いか
Spotifyがロスレスストリーミングサービス「Spotify Hi-fi」を発表してから2年以上が経過したが、いまだに開始される気配はない。今月初めにオンラインイベントが開催されたものの、特に公式のアナウンスはなかった。
そんななか、Spotify共同社長のGustav Söderström氏がThe Vergeとのインタビューに応じ、Hi-fiについて語っている。
Söderström氏は「我々がそれ(Hi-fi)を発表した後、業界は多くの事情から変化した」という。さらに実施する予定だと述べつつも「わが社とリスナーにとって理にかなっている方法」で行うつもりとのことだ。
そして「業界は変化し、我々は適応しなければならなかった」として、音楽ストリーミング業界の変化がHi-fiのリリースを難しくしたと示唆しているようだ。
もともとSpotifyは、2021年末までにHi-fiを立ち上げる予定だったと予告していた。が、その後Apple MusicやAmazonがロスレス音源を追加料金なしで提供しており、高音質プランは他のサービスにも広がりつつある。
Spotifyにとって業界がどのように変化したのか、あるいはHi-fi提供の遅れはコストによるものか。その詳細を問われたSöderström氏は「コスト面でも上手く行く方法でやっていきたい。我々のレーベル契約についても、他の企業がどう動いているのかも、明確な理由でコメントはできない」として直接の返答を避けている。
The Vergeは独自取材により、Spotify HiFiが1年以上前から準備されていたと突き止めたという。リリースするための技術的な作業はほぼ完了し、全音源をロスレス品質で再インジェスト(変換)が済んでいるとのこと。すでにSpotifyの従業員は、Hi-fiにアクセスできるそうだ。
しかし、もともとHi-fiは標準のPremiumよりも高価なプランでの提供(つまりユーザー1人当たりの単価を上げる)を狙っていたため、Apple Musicにロスレスが無料で追加されたことで台無しになったというわけだ。
そうした視点からSöderström氏の回答を読み解くと、SpotifyがApple Musicと同じやり方、つまり標準プランでHi-fiを提供するつもりはないと思われる。昨年秋に同社がユーザーに送ったアンケートでも、Premiumより高価なPlatinumプラン(月額19.99ドル)への言及があった。
今のところSöderström氏は、HiFiのリリース時期につき「ある時点で登場する」としか述べていない。すでに配信準備が終わっているならば、実際にユーザーに提供してコストを回収しなければならないはずだ。安価なロスレスストリーミングが普及しているなかで、割高に見えそうなPlatinumプランを公表するタイミングを見計らっているのかもしれない。
- Source: The Verge