初代ヘッドセットでどこまで実現?
アップルのヘッドセットはiPhoneやMacと連携、「画面を仮想空間で拡張」できる可能性
アップル製品のエコシステムは、複数のデバイス間の “Continuty(連携)” 機能が好評を呼んでいる。たとえば、iPhoneで再生中の音楽を近づけるだけでHomePodに引き継ぐハンドオフや、iPhoneをMacのウェブカメラにするなど、ユーザーが行っていることを中断せずに他の機器に切り替えられるのだ。
同社はこのContinuty機能を噂のAR/VRヘッドセットにも搭載し、実物のデバイスと仮想空間の切り替えをシームレスにする意向だとうかがえる特許を出願していることが明らかとなった。
先週、欧州特許庁は「Multi-Device Continuity for use with Extended Reality (XR) Systems」というアップルの特許出願を公開した。この文書中には、XR(AR/VR/MRを統合した概念)ヘッドセットと他のアップル製品間でどのようにContinutyが機能するか、いくつかの運用が例示されている。
1つには、ヘッドセット装着者がiPhone画面上のメールに目をやると、ヘッドセット内に仮想メールアプリがオーバーレイ(重ね合わせ)表示されるというもの。さらにハンドジェスチャーや視線により、より大きな仮想ディスプレイに転送し、空中タイピングで下書きできるという具合だ。
もう1つは、iPhoneで楽曲を再生中に同じ部屋にあるHomePodをジェスチャーで指差し、また目線をやることで、物理的に近づくことなくHomePodに再生を引き継げるというアイディアだ。これまで、iPhoneを持って歩み寄る必要があったハンドオフが、「HomePodを見るだけ」で実現するわけだ。
さらに、物理的なディスプレイを仮想画面に置き換えるのではなく、Mac用ディスプレイの外側に広がる「アクセサリウィンドウ」を「拡張現実環境」に置くという例示もある。つまり、16インチ画面の外側を仮想ディスプレイで包み込み、27インチにも32インチにも広げられるということだろう。
これら数々のContinutyが、噂のヘッドセットにどれだけ実装されるのかは不明だが、リーク情報では「Macの外部ディスプレイとしても使える」「メールやメッセージ等のアプリが使える」とも言われており、その一部は利用できるのかもしれない。
アップルは、今年6月のWWDC(世界開発者会議)、あるいは秋の「iPhone 15」と同時に、初代AR/VRヘッドセットを発表すると予想されている。4Kディスプレイ2枚や大量のカメラ・センサー類、M2チップ相当のプロセッサーなど妥協のない仕様のため、価格は3,000ドル前後の高価さになる可能性が高い。
おそらく初代ヘッドセットを購入するのは、ごく一部のアーリーアダプターに限られ、本格的な普及はコストダウンされた第2世代以降になるだろう。それでも、全世界の人々のAR/VRに対する関心を高め、優れた開発者が魅力的なアプリを作る後押しをするよう、見たことがない衝撃的な機能の数々を初代製品に期待したいところだ。