プライバシー保護が課題となりそう

Mozillaもアップル規約違反のiOS版Firefoxを開発中。Googleに先行か

Image:David Tran Photo/Shutterstock.com

Googleと同じく、MozillaもアップルがApp Store規約を近い将来に変更することを見越して、現時点では規約違反となるiOSブラウザを開発していることが明らかとなった。

海外テックメディアThe Registerは、MozillaのiOS版Firefoxのコードを含むGitHubリポジトリに、FirefoxのレンダリングエンジンであるGecko関連への言及を発見したという。直近の出来事ではなく、昨年10月のことだ。

現状のApp Store規約では、サードパーティ製のWebブラウザも、アップル純正のWebkitエンジンを使うことが義務づけられている。つまり、Mozillaは規約違反で配布できないブラウザを開発していることを意味する。

このアプリは、あくまで社内テスト用に過ぎない可能性がある。もっとも、同GitHub上でMozillaソフトウェア開発者は、それが 「二次プロジェクト」のためであり、「iOS上の正しいGecko Firefox 」ついて公開討論する意図であることが示唆されている。

これはGoogleのChromiumチームが、自社製Blinkエンジンを使ったiOSブラウザに取り組んでいることと同じ立場をとったものだろう。時系列的に考えて、Mozillaはアップル社内でWebkit強制の廃止を検討しているとの報道に先んじて動いていたことになる。

ここ最近は米バイデン政権が、ハイテク大手に対して独禁法に基づく監視を強めている一方で、英国やオーストラリア、日本やEUでも同様の動きが加速している。世界的に包囲網が狭まるなかで、アップルは他社製アプリストアやサイドロード(正規ストア以外からのアプリインストール)さえ、次期「iOS 17」で受け入れる準備を進めているとの噂もあり、Webkitの強制を撤回しても不思議ではない。

その一方でThe Registerは、アップルは自社のSafariがChromeやFirefoxに遅れを取っているとの評判が広まっていることから、Webkit開発チームのスタッフを増やし、能力差を解消していると指摘している。

アップルが新機能の追加に消極的なこともあり、Webkitエンジンはユーザーにとっても便利とは言い難い。とはいえ、純正エンジンに統一していることで、プライバシー保護が徹底されている一面もあり(Facebookがアプリ内ブラウザで回避しようとしているとの報告もあった)、セキュリティと利便性のバランスを取ることが今後の課題となりそうだ。

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