基本的にコンセントに繋ぎっぱなしとなりそう

アップルのヘッドセットは「ARとVRを行き来」できる? Macの外部ディスプレイにもなる噂

Image:Vytautas Kielaitis/Shutterstock.com

アップル初のAR/VRヘッドセット「Reality Pro」は、今春にも発表が迫っているとの予想もある。その詳細につき「視線と手の追跡機能が大きなセールスポイントになる」など、追加の有力情報が届けられている。

Bloombergによる最新の報道では、アップルの技術開発グループ(1,000人以上)がAR/VRヘッドセット初号機に過去7年もの歳月を費やしてきたことを詳しく伝えている。以前からの噂通りヘッドセットは「およそ3,000ドル」(1月24日現在で約39万円)になる予定で、Metaなどライバル企業製品の「約2倍の価格」だという。Meta Quest Proの米国価格が1500ドルであり、ちょうど倍である。

このReality Proヘッドセットは、複数の外部カメラによって手を、筐体内部のセンサーで目の動きを読み取って追跡するとのこと。これによりボタンやアプリアイコン、リスト項目など、画面上のアイテムを “見る” ことで選択し、親指と人差し指をピンチして、手に何も持たずにタスクを実行できるという。他社のヘッドセットは一般的にハンドコントローラーを併用するが、アップル製では手ぶらで全て操作できるようだ。

またARとVRを切り替えるために、Apple Watchのそれと似たデジタルクラウン(竜頭)も備えているという。VRモードは装着者を完全に没入させるが、ARモードを有効にすると「コンテンツは消え失せ、ユーザーは現実環境に囲まれた状態になる」とのこと。これはアップルが「製品のハイライト」になることを期待する機能の1つだそうだ。

MetaのQuest Pro2やPlayStation VR2といった、このカテゴリーとしては低価格のヘッドセットにも、機器を装着した状態で周囲を確認できるビデオシースルービューは搭載されている。だがそれらは、「ヘッドセットを外さずにコントローラーを探す」など、不便を軽減するものに過ぎない。Reality Proはその域を超えて、ARとVRを自在に行き来できることを強調すると推測される。

そして過熱(オーバーヒート)の懸念を防ぐため、「ユーザーのポケットに入れてケーブルで接続する」外部バッテリーを使う予定とのことだ。あわせて冷却ファンも搭載されるというから、過熱はかなり深刻な問題だったのかもしれない。実際、Reality ProはMac並みのプロセッサーのために96Wの電源アダプターを同梱すると噂され、発売延期された原因の1つとしても過熱が挙げられていたこともある。

この外付けバッテリーパック1つにつき、約2時間使えるとのこと。パックはおよそiPhone 14 Pro Maxを2台重ねたサイズ、つまり高さ約6インチ(約15cm)、厚さ0.5インチ(約1.27cm)だそうだ。基本的には、電源アダプターを繋ぎっぱなしが前提となるようである。

ほか、記事の概要を箇条書きにする。

・Macの外部ディスプレイとしても使える。MacのディスプレイをVR空間で見ながらも、トラックパッドやマウス、物理キーボードでMacを操作できる
・Safari、写真、メール、メッセージ、App Store、Apple TVなどのアプリがヘッドセット上で利用できる予定
・文字入力は、Siriや近くにあるiPhone、Mac、iPadから行える
・ユーザーが空中で手を使って入力できる技術も開発中
・VRゲームを動かすための独自の基礎エンジンも開発中
・Reality Pro試作機の一部は、USB-C充電できるバッテリーを内蔵
・Reality Proの初号機は「アルミニウム、ガラス、クッション」で作られる予定
・前面にユーザーの目を外部に見せられる曲面スクリーンを備え、側面にスピーカーとヘッドセットを頭に固定するヘッドバンドあり
・アップルは「没入型ビデオ視聴が中核機能」になると予想。ディズニー、ドルビーなどのパートナー企業が候補に挙がっている
・砂漠や宇宙空間などにある巨大スクリーンで映画を見ている気分になれる「ビデオ鑑賞専用機能」が用意される予定
・ヘッドセットでのFaceTimeは「ユーザーの顔や全身を仮想現実の中でリアルにレンダリング」

今月初めにもThe Informaitonが詳細な情報を伝えていたが、今回の報道とあわせてReality Proヘッドセットの全ぼうが浮かび上がってきた印象がある。

3000ドルという高価格にも「Macのディスプレイとして使える」ことや「自分専用のバーチャル映画館が持てる」ことに価値を見いだすユーザーが少なくないのかもしれない。

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