サムスン従業員もストをちらつかせて巨額のボーナスを獲得

TSMCの従業員に「ボーナス削減」の噂。会社側が異例の火消し、ボーナス増加へ

多根清史

Image:Jack Hong/Shutterstock.com

TSMC社内で「ボーナスが大幅にカットされる」との噂が広がり、従業員の不満が高まっていたことを受け、同社がむしろ前年よりボーナスを増やすと約束したことが報じられている。

発端となったのは、TSMC関連のFacebookページなどSNSを中心に、「今年の従業員向け業績連動ボーナスが削減されるのではないか」との疑惑が急速に拡散したことだ。一部では、具体的な削減幅が最大15%に達するとの主張まで出ていたという。

さらに、CEOが「現在のボーナス水準は高すぎ、世間から悪印象を持たれかねない」として、20〜30%の削減案に言及したとの噂も流れていた。

こうした投稿の一部では、サムスンの動きにならってストライキを起こそうという機運も高まっていた。「ストライキを推進したら違法なのか」「もうストライキをすべき時だ」といった意見が投稿され、集団行動の可能性を示唆していたとされる。

実際、サムスンの従業員らもストライキをちらつかせながら、最終的には約5億1300万ウォン(約5400万円)のボーナスを勝ち取っている

直近では、TSMCの2026年第1四半期売上高は前年同期比35%増、純利益は58%増となり、いずれも過去最高を記録している。上記の噂の真偽は不明だが、従業員の怒りに火が付きやすい状況だったことは確かだろう。

さらにTSMCは現在、2nmおよびA14(1.4nm)プロセス製造での優位性を固めるため、台湾内で12か所ものファブを建設中である。結果、巨額の設備投資が必要となっており、その資金を捻出するためにボーナス削減を検討しているのではないかとの見方も出ていた。

しかし、そのわずか数日後、TSMCは2項目からなる声明を発表した。そのなかで従業員の多大な貢献を認めるとともに、ボーナスは前年を上回るペースで増加する可能性が高いと保証している。そして「今後も会社が着実に発展し続けるなかで、全員の配当がさらに増えていくと確信している」と付け加えた。

TSMCもサムスンも、一時的に人件費が膨らんだとしても、AIブームによってチップ需要が拡大し続けるなかでは、製造ラインを止めない方がはるかに大きな利益を生み出せるはずだ。もっとも、そのコスト増加分は、最終的には末端の消費者価格へ転嫁されていく可能性が高そうである。

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